近年の物価高騰や将来への不安からか、若い世代を中心に貯金、貯蓄への意識が高まっている。貯金アプリ「finbee(フィンビー)」を運営するネストエッグが実施した調査によると、20代から40代の若年層で1000万円以上の貯金世帯が3年連続で増加した。

20代の平均貯金額は月6万円以上、全年代でトップに

20代~40代の1000万円以上の貯金世帯が増加、20代の毎月貯金額6万3236円で全世代をリード
(画像=世帯貯金額、年代別世帯貯金額比較を見ると、1000万円以上の貯金割合が過去最高となっている(「株式会社ネストエッグ」調べ),『オトナライフ』より 引用)

調査対象は20代~60代男女1000人、期間は2024年10月2日~10月4日の「貯金・お金」に関する調査では、世帯貯金額が1000万以上の世帯を見ると、20代は13%、30代は20%、40代は22%、50代は24%と、平均3ポイントの増加となっている。特に20代、30代は「500万円以上/1000万円以上」が3年連続で10ポイント増加しており、若年層の貯金意識は高まっているようだ。

20代の平均貯金額は6万3236円と全年代でトップに。全年代の1カ月の平均貯金額は4万7320円で、昨年より2万円増加している。

20代~40代の1000万円以上の貯金世帯が増加、20代の毎月貯金額6万3236円で全世代をリード
(画像=(「株式会社ネストエッグ」調べ),『オトナライフ』より 引用)

貯金の目的については、全年代で「生活費」がトップとなり、平均45%を占めている。これは将来の生活への不安が反映されているのだろう。貯金を増やすための手段としては、全世代で「ポイ活」が圧倒的な人気を誇っている。特に30代、40代では約53%が実践しており、収入を少しでも増やしたいという意識が強く感じられる。また、20代の6%が「貯金アプリ」を活用しており、デジタル世代ならではの貯金手法が浸透しつつあるようだ。

一方で従来の「500円玉貯金」などの小銭貯金は、減少傾向にある。キャッシュレス決済の普及や銀行窓口での硬貨預け入れ手数料徴収の影響もあるだろう。代わりに、「推し貯金」「歩数貯金」「365日貯金」「カレンダーの数字貯金」といった、エンターテインメント性があり、自分の趣味・嗜好に合わせたルールでコツコツ貯める新しい貯金スタイルが人気を集めている。

20代~30代の支出額トップ2は投資と貯金

20代~40代の1000万円以上の貯金世帯が増加、20代の毎月貯金額6万3236円で全世代をリード
(画像=2024年度支出内訳では、食費、貯金、投資がトップ3だ(「株式会社ネストエッグ」調べ),『オトナライフ』より 引用)

特筆すべきは、20代と30代の毎月の支出額の内訳だ。両世代とも1位と2位に「投資」、「貯金」がランクイン。3位が「食費」となっており、若年層の「お金を増やす・守る」意識の高さが顕著に現れている。一方で、物価高騰の影響も如実となっており、すべての世代で「食費」が支出増加項目の1位。30代以上では60%以上の世帯が食費の支出増加を実感している。特に「食料品、消耗品」の価格高騰による家計負担は、この1年間(2023年-2024年度)で著しく、比較調査開始以来トップの支出割合となった。

調査結果から、若年層を中心に堅実な金銭感覚が醸成されていることが見て取れる。一方で、「旅行」への支出意欲も高く、時流的にも家計的にも我慢が続く中でも、楽しみを求める傾向もあるようだ。

今後も物価高騰が続くと予想される中、家計管理の重要性はさらに高まるでしょう。特に、キャッシュレス決済と連動した家計簿アプリの利用など、デジタル技術を活用した家計管理の普及が進むと考えられる。

若い世代を中心に、貯金や投資への関心が高まっていることは、将来の経済的安定につながる好ましい傾向と言えるだろう。しかし、過度な節約は消費の低迷を招く可能性もあるため、バランスの取れた家計管理が必要だ。物価高騰の中で、いかに賢く支出し、効率的に貯蓄するか。それぞれの世帯に合った最適な家計管理の方法を見つけることが、今後ますます重要になるだろう。

文・ オトナライフ編集部/提供元・オトナライフ

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