車を運転する機会が多いほど、街で遭遇する車の動きに違和感を覚える瞬間も増えるものです。先日MOBYが公開した「モヤッとする他車の運転」に関する記事に対しても、数多くの意見が寄せられました。
以下では投稿フォームから集まった意見のうち、「ブレーキランプ」に関する声を紹介します。
なんでそのタイミングでブレーキ踏むの?
ブレーキランプは、自社が減速していることを後続車に伝え、追突のリスクなどを軽減する役割を担っています。保安基準においてテールランプの「5倍の明るさ」になるよう定められていることからも、「減速意思の伝達」が円滑な交通のために重要な意味をもつことがわかるでしょう。
一方で、前走車のブレーキランプは後続ドライバーの注意を相当に引きつけるがゆえに、やたらとランプを点滅させる車に対しては、鬱陶しく感じてしまう人も多いようです。
「信号が青に変わり前の車が発進し、その後に続いて発進したら、前走車がなぜかブレーキランプを点灯させたままゆっくり加速していきます。おそらく左足でブレーキを踏みながら運転しているようです。ブレーキランプが常時点灯し、減速タイミングがわからないので、車間距離が取りづらくストレスが溜まりました」(50代男性・会社員)
「ブレーキランプが点灯したまま加速していく車をよく見かける」との報告は、ほかにもいくつか寄せられており、やはり「左足ブレーキが原因ではないか」と推測する声がありました。
左足ブレーキはレースや特殊車両などにおいて用いられることのある技術ですが、通常の運転においては身体が固定されにくく、操作が不安定になりやすいなどのリスクがあります。それゆえ教習所においては右足でのブレーキを原則に教えており、公道での左足ブレーキは推奨されません。
一方で、「ペダルを踏み替えるタイムラグがない」「操作に慣れればかえって踏み間違いのリスクが減る」という意見もあり、また法律上禁じられているわけでもなく、ごく少数ながら左足ブレーキを実践するドライバーもいるようです。
ただいずれにせよ、加速しながらブレーキランプを点灯させるような走り方をしてしまうのであれば、素直に右足でブレーキを踏んでほしいところです。また、ブレーキ操作は自他の安全に直結しますので、「興味本位でちょっと左足ブレーキを試してみる」というのも避けましょう。
謎のブレーキタイミング、原因はドライバーにあらず?
また、ブレーキランプが頻繁に点灯する車について、その原因を最近の車ならではの機能・仕様に見る人もいました。
「高速道路でブレーキランプを点灯させている車が多く、『なぜこんなところで』と思うことが結構ありますが、その原因の一部はACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)にあるように思います。メーカーにもう少しどうにかしてもらいたいところです」(60代男性・無職)
自動的で定速走行および前走車追従を行うACCは、先進運転支援システムのなかでも普及が進んでおり、とくに高速走行時に便利な機能として活用されています。車間距離を一定に保つためにも有効な機能ですが、メーカーや車種、年式によっては減速のタイミングにやや違和感があるものも。「ここで?」というタイミングでブレーキランプが点灯するケースがあるようです。
高速道路を走っていて、「前の車、やたらブレーキ踏むなぁ」と思ったら、まず「ACCかもしれないな」と考えてみるのがいいかもしれません。
減速しているのに……ブレーキランプが点かない!
ブレーキランプの点灯タイミングに影響する技術としては、ハイブリッド車の「回生ブレーキ」が挙げられます。とくに回生ブレーキを用いたワンペダル機構を搭載する車種などについて、「減速しているのにブレーキランプが点かない」という点を懸念する人が多いようです。
「日産のe-Powerの車種で、車両が減速して停止するまでブレーキランプが点灯しないケースを見かけます。それが原因で危ない状況になっている場面も目撃したことがあるので、減速時のブレーキランプ点灯タイミングについて、改善されるといいなと思います」(50代男性・地方公務員)
アクセルペダル1つで加速はもちろん減速操作のほとんどをカバーする日産のe-Pedalは、ブレーキランプの点灯タイミングを「ペダルの操作」ではなく「減速G」によって制御しています。そのため、規定のGに至らない程度にアクセルを緩め、ゆっくりと減速していく場面などにおいて、ブレーキランプが停止するまで点灯しないケースが報告されています。
この問題を考える際に難しいのは、回生ブレーキによるブレーキランプの点灯タイミングが保安基準において厳密に定められているという点です。点灯タイミングは「減速度」に応じて規定され、減速度0.7m/s2以下の場合は「禁止」、減速度0.7m/s2を超え、1.3m/s2以下の場合には「任意」、減速度1.3m/s2を超える場合は「義務」とされています(2011年の改正以前は回生ブレーキによる点灯そのものが禁止)。
e-Pedalにおけるブレーキランプ点灯のタイミングもこれに準じているため、減速度0.7m/s2以下の状況では法律上点灯させることができません。そのため違和感のあるタイミングは、メーカー側の問題というよりも、制度上の問題という面が強いのかもしれません。
技術が多様化・高度化することで、ブレーキランプの点灯タイミングにも思わぬ変化が生じています。前走車のブレーキランプに違和感がある場合には、それがドライバーに由来するものではなく、技術的なものである可能性を念頭に置き、状況に応じて対応できるよう車間距離を意識して運転することが望ましいのでしょう。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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