日本橋三越本店が開催した「英国展」が、“まるでコミケのようだ”と話題になっている。それは、英国展に本場英国の一流スコーン職人たちが携えて来日し、それに日本の消費者が大行列をなしている状況を指している。また、日本で改良されたスコーンも同時に並べられ、現場は身動きが取れないほどの混雑となったことも、コミケと酷似しているといわれる理由だ。
年間を通し、全国各地のデパート・百貨店で開催されている「英国展」には、根強いファンが多い。当然、それぞれの店舗ごとに目玉となる品や店舗、催しは異なるが、イギリスのスイーツや食品のほか、日用品などが販売される。
特に今、話題になっているのは、日本橋三越本店で8月27日~9月9日に開催された「英国展 2024」だ。本場の一流スコーン職人が集い、焼き立てのスコーンを販売するというイベントに、多くの客が殺到した。
その模様をX上で「コミックマーケット(コミケ)」のようだと表現する投稿が、瞬く間に900万回以上閲覧されるほど大注目を浴びた。コミケとは、世界最大の同人誌即売会で、年に2回開催される。東京ビッグサイトなどの大規模会場で催されるものの、1日に十数万人が訪れるため、長蛇の列が絶えず、会場内は身動きが取れないほどの混雑となる。
デパートの英国展が、そんなコミケにたとえられているわけで、どれほどの混雑ぶりかと想像するだけで気が遠くなる。実際に、「混んでる率もコミケなので二の足踏んでます」「本当に異常な熱気ですし、主催側も整列形成や整理券配布がまさにです」と、コミケに類するほどの混雑ぶりであることに同調する返信もついている。
特に話題になっているのは、スコーンである。イギリスの代表的なスイーツで、アフタヌーンティーで紅茶とともに食されることが多い。イギリスではパティシエやパン職人がつくるだけでなく、スコーン専門の職人もいるほど需要が高い。そんな本場のスコーン職人やパティシエが、三越の「英国展」に集い、焼き立てを提供したことから、長い行列ができるほどの人気になったようだ。
「もみくちゃにされた」「1時間以上待った」など、疲弊した声がある一方で、「並んで買った甲斐があった」「めちゃくちゃ美味しかった」と、食べた方からは感激の報告が続出している。
「英国展コミケ」の元ネタ
英国展をコミケのようだと例えるのは、実は元ネタがある。2年前にX(Twitter)上で、このような投稿が話題になった。
「乗せられやすい日本人達が製菓業界の企業戦略に全力で乗っかった結果、バレンタインデーが『デカイシノギがあると聞いてと全世界の一流ショコラティエが自慢の商品を提げてカチコミに来るチョコレート好きにとってのコミケ』になったことから得られる教訓は、『楽しい祭りには全力で乗っかる方がお得』」
バレンタインデーが一大イベントとなっている日本において、世界中のショコラティエが自慢の一品を披露する場として活用されている現状があるというわけだ。今や日本では、バレンタインデーは単にチョコレートを好きな人や仲の良い人に渡すだけではなく、自分や家族のために特別なチョコを買う日ともなっている。普段は買わないような高級なチョコレートも、この日は大枚をはたいても買う、という人は多い。
お祭り好きの日本人は、イベント事の日には財布の紐が緩む傾向にあるため、デパートなどでは定期的に催事を開くことで集客につなげたい意向があるのだろう。そんななかで、英国展は根強い人気を誇るコンテンツといえる。
日本橋三越本店以外でも、英国展は各地で催されている。気になる方は、特に混雑ぶりが激しい都内のデパートを避け、他の店舗の英国展に顔を出してみるのもいいだろう。また、日本橋三越本店では、9月25日から「フランス展」が開催される。フランスのスイーツが好きな方は要チェックといえる。
(文=Business Journal編集部)
提供元・Business Journal
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