体育会系の学生は元気がいいので優先的に採用するように 理数系の学生は頭がいいので管理部向きに採用してください

これも、先入観や思い込みの例と言えます。先入観がはいると否定的な印象ほどなかなか変わらないものです。皆さまにも経験はありませんか。

至るところにある思い込み

これらの現象は様々な状況で確認されます。たとえばファッションも同じです。

筆者がオシャレに目覚めた10代の頃、全身、黒づくめのファッションが流行っていました。トップスは黒のブルゾン。「GARÇONS」「KOSHIN SATOH」「DOMON」が定番で、これに細身のパンツをチョイスします。足下は「AVIA」のハイカット、カバンはヴイトンの「ソミュール」をあわせていました。

そして、いまだにワードローブは黒が多いのです。

当時、店員につぎのように言われていました。

「黒と合わせると、すっきりまとめられますよ」 「黒は合わせやすいので、何かと使いやすいですよ」

こうしたセールス·トークを聞いているうちに「とりあえず黒」になってしまったのです。「黒は何にでも合う」との思い込みは、「本当の自分に気付かないまま無意識のうちに振り回わされていることと同じです。

いまとなれば、単なる先入観か思い込みのようにも感じます。

言いかえれば、「カレーはご飯と食べるに決まっている」と言っているのと同じです。「カレーにはナンが常識だと思う人も、パンが常識な人もいるはずです。そんな人たちにすればご飯が美味しいに決まっていると強要されたくはないでしょう。

日常のいたるところで確証バイアスが働き、先入観や思い込みによる情報収集がされています。この機会に日常で役立ちそうなプチ心理学はいかがでしょうか。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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