先週発売の『表現者クライテリオン』8月号でも、連載「在野の「知」を歩く」を掲載していただいています。綿野恵太さんに次ぐ2人目のゲストは、コンサルタントの勅使川原真衣さん。

勅使川原さんとの対談は、Foresight に掲載のものに続いて2回目になります! 従来もこのnote にて、記事を出してきました(こちらとこちら)。

掲載誌で改めて読み直したのですが、今回新たに提起した色んな論点のうち、いちばん大事なのはやはりここですかね。

與那覇:日本人が個性を求めるのは、軽薄な流行とも言い切れなくて、むしろ周囲から来る同調圧力に「合わせたくない私を、正当化してくれ!」という切実な要求でもあるのでしょう。しかし、それと能力主義との結びつきがこじれてしまった。 一方の極には、「俺は海外で成功した超一流の個性だから、周りに合わせません」。他方には「私の発達障害は『個性』なので、合わせられません」みたいな。それぞれに事情はあれど、個性の主張が「他人との対話を閉ざすこと」だと錯覚されてはいないでしょうか。

勅使川原:おっしゃる通りですね。結局いろいろなイデオロギーがあっても、誰の話を聞くべきで、誰の話は無視していいのかというのを決めてきたのが能力主義だと思います。つまり、ケアすべき範囲を「絞る道具」が能力主義であるということです。