教皇は3月13日に教皇在位12年目を迎える。フランシスコ教皇はベルギーへの旅行を発表したが、日程はまだ決まっていない。計画されているポリネシア訪問、教皇の故郷アルゼンチンへの訪問が実現するかどうかはまだ不明だ。南米旅行については、9月にエクアドルのキトで開催される世界聖体会議への参加に関連しているのではないかとの憶測が流れている。

また、フランスのマクロン大統領はフランシスコ教皇をパリに招待したいと考えている。2019年の大火災で焼失した世界的に有名な礼拝堂、ノートルダム大聖堂は12月8日に礼拝を再開する予定だ。同時に、パリでは夏季五輪大会(7月26日開幕)が控えていることもあって、フランシスコ教皇を迎えて2024年を盛り上げたい意向が強いという。

87歳と言えば、普通でも高齢者に入るが、世界13億人以上の信者の最高指導者の立場のローマ教皇には大きな責任と負担がのしかかっている。だから、フランシスコ教皇の後継者問題は2024年に入り、これまで以上に現実的な課題となることは避けられないだろう。

参考までに、教皇選出権を持つ80歳未満の枢機卿は現在、137人だ。そのうち、フランシスコ教皇が任命した枢機卿は102人であり、残りの35人はベネディクト16世(在任2005~2013年)、ないしはヨハネ・パウロ2世(同1978~2005年)によって任命された枢機卿だ。コンクラーベでの選挙で当選するには選挙権を有する枢機卿の3分の2の支持が必要だ。2005年のコンクラーベではベネディクト16世は4回目の投票で、フランシスコ教皇の場合は2013年、5回目の投票でそれぞれ当選している。

聖職者の未成年者への性的虐待問題、不正財政問題などに直面するローマ・カトリック教会は信者たちの信頼を失い、教会から脱会する信者が増えている。教会の頂点にたつフランシスコ教皇は教会の刷新に乗り出しているが、87歳の教皇にはもはや多くの時間は残されていない。バチカンでは保守派と改革派の間で既にポスト・フランシスコへの主導権争いが始まっている(「宗教は『世俗化』に打ち勝てるか」2023年5月1日参考)。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年1月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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