日本経済にとってはやや逆風になります。現在平均関税が3%程度ですが、これが10%程度になるのではないか、と見られています。日本製鉄のUSスチールの買収も当局のお墨付きを早くもらわないとちゃぶ台返しになる可能性はあります。
アメリカ国内ではFBI、検察、FRBを含む反トランプ勢力へのリベンジがあるでしょう。いわゆる「当局」勢は人事など相当荒れるとみています。
外交は興味がない、そんな感じに見えます。ウクライナ問題を24時間で終わらせると豪語していますが、その手法は明示していません。個人的には支援打ち切りとみています。中国とは極めて淡泊な付き合いになるでしょう。日本は嫌いではないけれど今、積極的にディールしたい気にもならないのではないかとみています。メキシコ国境の壁も継続して作るし、不法移民絡みのアメリカ永住権は厳しい措置が見込まれます。
外交で唯一高い関心を示すのはイスラエルとみられ、何らかの継続的支援と中東情勢の関与はありそうです。サプライズとしては北朝鮮にもしかしたら関与するかもしれません。金正恩氏はトランプ氏を嫌いではないし、昔からアメリカが憧れであった以上、「俺はプーチンともトランプとも取引できる」と豪語させながらもトランプ氏が手のひらの上でころころする絵図がないとは言えない気がします。
予見しにくいとされますが、2017年から21年までの大統領任期を通じて氏のスタンスは嫌というほど見せつけられたのです。その点からすれば同じような展開になるのはほぼ自明であり、事前に準備ができる点においては都合がよいともいえないでしょうか?
ただ対応には苦慮すると思います。個人的に一番面倒な予感がするのは東アジアの安全保障の問題で、トランプ氏は興味ないとみています。台湾問題も遠い海の向こうの話、日本は自分で自分ことを考えればいい、ぐらいのスタンスだろうと察しています。グローバル化の世界に乾ききったカット&ペースト的なやり方を持ち込まれれば付随的に世界の力関係のバランスも崩れかねないリスクは頭に入れた方がいいのかもしれません。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年1月12日の記事より転載させていただきました。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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