大統領選の劇場化といえば、トランプ氏に扇動した疑いがかかる連邦議会議事堂の襲撃事件(2021年1月)を思い出します。連邦議会議事堂と言えば、民主主義の殿堂です。この事件で1200人が刑事訴追され、700人が有罪になりました。

トランプ氏は「大統領に当選したら議会襲撃事件(750人が有罪)の支持者らを恩赦する」と公言しています。法の秩序は二の次です。「恩赦」と聞いて、熱狂する支持者は多いでしょう。トランプ氏は大衆扇動家としかいいようがない。

各国首脳らは「民主主義にとって悲劇」、「暴力は正当化されない」と語っています。表面的すぎる見方で、政治家自身が事件化しやすい行動をとっている。ついでにいうと、ロシアの報道官は「全ての政治闘争での暴力を非難する」と述べました。よくまあこんなことが言える。政敵を逮捕し、獄死させる。あきれた発言です。

一方のバイデン氏は「病んでいる」と、事件後、記者の前で声明を公表し、「米国にこの種の暴力が許される場所はない」と強く非難しました。正論でしょう。問題は「病んでいる」との発言です。米国の政治社会は病んでいることは間違いない。

そう発言したバイデン氏自身も「病んでいる」。「認知症」の疑いと、高齢による言動と所作の不安から、他の大統領候補に差し替える動きが高まっています。選挙からの撤退を自ら判断できない。少数の側近としか接触しなくなっているため、都合のいいことしか伝わっていない「王様の耳」は「病んでいる」との論評も聞かれます。

米国は世界最大、最良の「民主主義国家」でした。その米国が「トランプもトランプ、バイデンもバイデン」だから、どうしようもない。国際情勢は自国のことは他国に頼らず、自分で守るしかなくなっていくのでしょう。

編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2024年7月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。