自由民主党にはユニバーサル社会推進議員連盟という議連がある。会長は石破茂氏、つまり現総裁である。議連は年に二回程度開催され、障害者関連の各団体から要望を聞く。それが政府の障害者施策として展開されていく。
1990年代から製品サービスに「ユニバーサル・デザイン」を求める国際的な潮流が強まってきた。議連名「ユニバーサル」はこれに関係する。
製品、システム、サービス、環境及び施設が、できるだけ多様な特性及び能力のある人たちが使用可能になることを目指すのが「ユニバーサル・デザイン」である(標準化及びアクセシビリティに関するIEC/ISO/ITU共同政策宣言等による)。
人の感覚機能の程度、例えば視力は図のように正規分布している。1km先のライオンに気づける人は少ないが、まったく視力がない人も少ない。多くの人の視力は1.0前後である。
ここに製品サービスを投入すると、ある視力以上の人たちが使用できる。それが図中の「製品サービスが利用できる人の範囲」である。できるだけ多様な特性及び能力のある人たちが使用可能になるように範囲を左方向に拡張しようという、図では左向き矢印の努力が、ユニバーサル・デザイン志向である。
いくらユニバーサル・デザインを志向しても、どうしても使用できない人も出る。その人たちに提供されるのが支援技術で、図では左端に左右に開いた矢印として示されている。製品サービスに支援技術を組み合わせることで、だれもが実質的に使用できる状態になる。
議連がユニバーサルを標榜するのは、製品サービスができるだけ多様な特性及び能力のある人たちが使用可能になるように目指すという意思を示すものだ。これは国際的な潮流でもあり、是非その方向で政府の施策を展開していただきたい。
総務省は2023年度に「情報アクセシビリティ好事例」を選定して公表した。好事例の多くは支援技術だった。