ミレイ氏を勝利に導いた決定的な要因はマクリ元大統領が味方したことだ

それに加勢したのが改革派のマウリシオ・マクリ元大統領(2015-2019)である。彼が率いていたパトリシア・ブルリッチ候補は3位となり、決戦への進出は成らなかった。彼女が獲得した600万票の大半をマクリ氏のリードでミレイ氏に投票するようにさせたのである。

マクリ氏にとってキルチネル派は絶対に打倒すべき相手であった。その結果、ミレイ氏とマサ氏の決戦での票差はおよそ300万票ということで、ブルリッチ候補の600万票の大半がミレイ氏に投じたことを意味することになった。

正義党の候補者が300万票の差で敗北するということは初めてのケースでもあった。それだけ、有権者の間ではキルチネール派の勝利を望んでいなかったということだ。それを知っていたマサ氏はキルチネール派ではなく正義党のペロン党を復活させると言っていたが有権者には彼はキルチネール派の候補者だとしかみなさなかった。

これからマクリ氏の意向がミレイ氏のグループにどこまで影響するか不明であるが、それも徐々に解明されていくはずだ。即ち、閣僚のポストにマクリ氏が推薦している人物がどこまで入閣できるかということである。特に、経済相にはマクリ氏の意向を反映させたいとしているが、ミレイ氏の通貨のドル化を将来実施するのに就任する経済相が同意しておく必要がある。

ミレイ氏が参考にしたドル化に至る過程を理論化しているエミリオ・オカンポ氏はアルゼンチン中央銀行の総裁に就任してもらうことをミレイ氏は考えているようだ。オカンポ氏によって中央銀行の解体を進めてもらう意向だ。ドル化を実施すれば中央銀行は必要なくなるからだ。

誰が経済相に就任するのか、まだ時間がかかりそうだ。というのも、12月10日までマサ氏が経済相の地位にあり、マサ氏が新しいく経済相に就任する人物を阻害しないようにするためでもある。しかし、この任命も長くは引き延ばせない。経済界では就任する経済相が誰かということでドル化に早速取り組んで行くのか、それともドル化はまだ先の事か判明するからである。ミレイ氏はドル化そしてインフレを抑えるのに凡そ18カ月が必要だとしている。実際、多くの経済学者は来年も毎月インフレは2桁を維持して行くと指摘している。

ミレイ氏が大統領に就任した後、彼の政策を議会で承認させる必要がある。それにはまたマクリ氏がリードする政党の協力が必要になって来る。特に、需要なのは上院と下院議会の議長に誰を就任させるかである。特に下院議長の選任がまだ不明である。一方の上院議長にはミレイ氏の政党のNo.2であるビクトリア・ビリャルエル副大統領が就任することになっている。彼女の父親はフォークランド戦争で中佐として参戦した。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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