日経の社説は「米共和党の『内向き志向』を憂慮する」とありますが、これは共和党ではなく、アメリカ国民全般にみられる大きなトレンドではないでしょうか?
実は私は「内向きの日本の若者」に焦点を置いていろいろ考えているのですが、アメリカ全体が内向きになっていることと日本が内向きになっていることは何らかの関連性があるとみています。その共通ワードは「成熟の中の不満」を仮説に置いています。日々の生活で常に文句がいくつもあるけれどそれを改善するほどの熱意はないというものです。逆に言えばアメリカの中間層から下の方々も極端で耐えられないほどの不満ではないができれば変えてもらいたい、それも自分でやるのはかったるいのでトランプさんならやってくれそう、そんな感じだと思います。
トランプ氏が今回気をつけているな、と実感できるのは失言が極めて少ないのです。トランプ氏は放言し放題、これが氏のイメージでした。それが今回はかなり封印しているのです。口の悪さは相変わらずですが、世論がざわめきたつような失言は今のところはありません。これはトランプ氏の戦略であり、本気で勝ちに来ているというのが実感できます。
タイトルの「ヘイリー氏は何処まで善戦するか?」ですが、次のサウスキャロライナがキーになると思います。そこで勝てなければ物理的に厳しいと思います。トランプ氏とクリントン氏が戦ったケースで見るとトランプ氏が中部を北から南までほぼ勝利しています。ヘイリー氏とクリントン氏はキャリア的に重なるところがあるのです。それを考えると中間層から下の層が取れなければ選挙戦としては乗り切れないでしょう。
逆に言えば偉大なるアメリカとは言えども本当にドメスティックな匂いがプンプンするかなり閉鎖的な社会が本質的にはあるということなのでしょう。そこを考えるとヘイリー氏の逆転のシナリオはヘイリー氏が「ドメスティックの匂いプンプン」を受け入れるかどうかにかかるということです。つまり中間層から下の層が喜ぶ選挙戦に切り替えてあえてトランプ氏と政策をバッティングさせるという手法はありかもしれません。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年1月25日の記事より転載させていただきました。
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