公明・立憲は「敵基地攻撃能力」(「反撃能力」)保有を認めよ

しかし、自衛隊自体を認めない共産党は論外として、公明党や立憲民主党も、これまで「専守防衛」への逸脱(「先制攻撃」)等を理由に、「敵基地攻撃能力」(「反撃能力」)保有に反対してきた。立憲の泉代表は、1月9日のNHK番組で、「移動式ミサイル発射台等の探知は困難であるから、敵基地攻撃能力の保有は現実的ではない」との趣旨の発言をし、改めて反対した。

確かに、北朝鮮の場合も、移動式ミサイル発射台や潜水艦からのミサイル発射は探知が困難であろう。しかし、立憲・泉代表のように、ミサイル発射の探知が困難であるからと言って、相手国からの一方的且つ違法なミサイル攻撃を甘受することは断じてできない。日本の存立と1億2000万国民の命にかかわる問題だからである。

このように、日本は、相手国からの一方的且つ違法なミサイル攻撃を到底甘受できないとすれば、日本はこれに対する国際法上の「自衛権」(「国連憲章51条」参照)及び国家固有の「正当防衛権」に基づき反撃すべきは当然であろう。その反撃の名称が「敵基地攻撃」であるかどうかは重要ではない。反撃によって、相手国からの一方的且つ違法なミサイル攻撃等を「阻止」し「抑止」することこそが何よりも重要なのである。

もし、「敵基地攻撃能力」の名称が、「先制攻撃」を連想させ不適切であるとすれば、単に「反撃能力」と改めればよいだけのことである。「反撃能力」は上記の通り国際法上の「自衛権」に基づくものである。このような国際法上の自衛権に基づく「反撃能力」の保有を、自衛隊自体を認めない共産党は論外としても、自衛隊を認める公明党や立憲民主党が反対すべき合理的理由はない。

日本防衛に極めて有効な「射程2千キロ以上極超音速弾道ミサイル」配備

たとえ、相手国の移動するミサイル発射台や発射基地を探知できなくても、相手国の空軍基地、陸軍基地、海軍基地、さらには相手国の政権指導中枢部、軍事指揮命令系統中枢部の探知は、多数の高性能偵察軍事衛星や無人偵察機等によって可能であろう。したがって、相手国からミサイル攻撃を受けた場合は、これらの基地に対する反撃は可能であり、相手国に相当の打撃を与えることができよう。

のみならず、これらの軍事基地に限らず、相手国の政権指導中枢部や軍事指揮命令系統中枢部に対する反撃はさらに有効であろう。その場合、速度の遅い巡航ミサイルではなく、速度の早い射程2千キロ以上の極超音速弾道ミサイルによる反撃は、相手国に甚大な打撃を与え極めて有効であろう。なぜなら、迎撃が困難である上に、東京~北京は2100キロであり、射程2千キロ以上極超音速弾道ミサイルは北京もピョンヤンも射程圏内だからである。

こうした日本の強力な反撃能力の構築が相手国に対する極めて有効な「抑止力」になると言えよう。日本は、自衛のための「抑止力」として、このような「射程2千キロ以上極超音速弾道ミサイル」を早急に研究・開発・実用化し、少なくとも、これを2千基以上国内に配備すべきである。潜水艦からの発射も可能とすべきである。

このような、強力な弾道ミサイルの配備は、近年におけるミサイル兵器開発技術の急速な進歩により、現行の「ミサイル防衛」が無力化しつつあるから、1億2千万日本国民の命を守るための、日本防衛に極めて有効な自衛のための「抑止力」になり得る。したがって、自衛権を放棄していない「憲法9条」(「最大判昭34・12・16刑集13・13・3225」参照)にも「専守防衛」にも一切違反しないのである。「敵基地攻撃能力」(「反撃能力」)の合憲性及び「専守防衛」と矛盾しないことについては、2019年10月23日掲載「日本は「敵基地攻撃能力」の保有を急げ」を参照されたい。

日米安保に基づき、今も、米国を「鉾」(「攻撃」)日本を「盾」(「防御」)の役割分担を主張し、「敵基地攻撃能力」(「反撃能力」)に反対する見解がある。しかし、近年における中国の経済的軍事的台頭により、米国の相対的影響力が低下し、「米国に守ってもらう」という他力本願ともいうべき、日本の安全保障を全面的に米国に依存する時代は過ぎ去った。

したがって日本は、「尖閣危機」を含め対中国や、対北朝鮮への安全保障体制に万全を期すとともに、米国と協力して「台湾有事」を含め、北東アジアの平和と安定にも貢献すべきである。

文・加藤 成一/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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