「番組の内容自体は高く評価してよい」

　今回の『NHKスペシャル』は、これまでNHKがジャニーズ所属タレントを積極的に起用していた経緯も検証している。NHK元制作局長・元理事で在籍中はジャニーズ事務所と太いパイプを持ち、現在はスタート社の顧問に就いている若泉久朗氏への直撃取材も行い、若泉氏は「なんで僕なんですか？　しかも仲間じゃないですか。僕個人で今、ここで語ることはできない」と話している。スタート社所属タレントの番組起用を再開すると発表したばかりのNHKが、このような特集を放送したことについて、テレビ局関係者はいう。

「実際にジャニーズ事務所を担当していた元テレビ局社員や被害者、ジャニー氏とメリー氏を直接知る人物たちから貴重な証言を引き出しており、番組の内容自体は高く評価してよい。取材は1年前から始まっていたということなので、このタイミングでの放送になったのは、たまたまでしょう。番組を放送前に制作局や上層部がチェックするということはないでしょうし、基本的には番組の内容についてはプロデューサーとディレクターの責任においてつくられるため、今回放送された内容が何かNHKとしての方針や姿勢を映すものというわけではありません。よって、スタート社所属タレントの起用を再開するにあたっての“禊”的な意味合いで放送されたというわけではないでしょうが、このような身内にも批判の矛先を向ける番組が結果として放送されたという事実は評価されるべきではないでしょうか」

　では、NHKがスタート社所属タレントの起用を再開することは、どう捉えるべきなのか。

「NHKの目的は一言でいえば、『NHKスペシャル』内での若泉氏による説明とも重なりますが、視聴者層の拡大ということなので、視聴者獲得のためという経営判断の一環であり、良いとも悪いともいえません。また、スタート社の所属タレントたちは一連のジャニー氏の問題で仕事に影響を受けた、もしくは将来的に仕事に影響を受ける可能性がある被害者という面もあり、そのようなタレントたちが一テレビ局の方針によって締め出され続けてしまうというもの不当であり問題であるでしょうから、すでに民放局では多くのスタート社所属タレントがドラマ主演も含めて出演しているなか、どこかのタイミングでNHKでも正常化されるのは当然です」（別のテレビ局関係者）

（文＝Business Journal編集部）

提供元・Business Journal

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