料理をするときに、上手くガスがつかずにツンとした嫌なニオイを嗅いだ経験がある人も多いだろう。実は本来のガスは無臭で、ガスが漏れたときに感じる「くさい!」というニオイは人工的につけられたものだという。今回は、なぜわざわざガスにニオイをつけているのか調べてみた。
玉ねぎ、ニンニク、石油…… 人間が不快に思うニオイを生成
家庭で使われている都市ガスやプロパンガスなど、燃料に使われているガスは本来無色・無臭の気体。もしガスが無臭のまま使用された場合、ガス漏れを起こしていても気がつかずに一酸化中毒になったり、突然引火や爆発などを起こしたりとかなり危険だ。そのため微量なガス漏れでもすぐに感知できるように、あえて人が不快に感じるニオイを後付けされている。
付臭剤として使う物質は、人畜無害であることが必須。完全燃焼し、燃焼後には有害な物質を出さないことや無臭であることなど、さまざまな条件をクリアーしたものが使われているのだ。
付臭剤の物質でよく使われているのが、たまねぎが腐ったようなニオイの「ターシャリーブチルメルカプタン」、ニンニクに似たニオイの「ジメチルサルファイド」、石油に近いニオイの「シクロヘキセン」。たしかに、どれもあまりいいニオイとは言えないだろう。
ガス事業法でガスにニオイをつけることが規定されているため、ガス会社には「付臭装置」というものが必ず設置してある。付臭剤の種類や施設の規模によって、「ポンプ注入方式」「蒸発方式」「液付臭方式」の3つの方法を使い分けてニオイをつけているようだ。
危険に素早く対処するために、あえて付けられた人工的なガスのニオイ。様々な工夫でニオイ付けがされているので、少しでもニオイに違和感を感じたら身の回りをチェックして事故を防いでほしい。(フリーライター・波多野陽介)
■Profile
波多野陽介
学生時代からクイズ好きで、卒業後からフリーライターとして活動中。世の中の様々な雑学、トリビアを中心にオールジャンルの記事を手掛けている。知識量を増やすべく日々リサーチ中。
提供元・BCN+R
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