……ところが2020年からは、本当に毎日がそうなっちゃったんですな。

この『グリッズルド』、実は2021年に、現代の医療機関を舞台にする『ウィ・ケア』(We Care)としてリメイクされています。言わなくてもわかりますよね? 要は、新型コロナ・バージョンが出たわけです。

『ボードゲームで社会が変わる』では6つの作品のプレイ記を、それぞれ別の豪華ゲストに寄稿していただいていますが、実はこの『ウィ・ケア』でという幻のプランもあり、その際にお願いする識者も決めていました。もっぱら他の5作品とのバランスの兼ねあいで、ナシになりましたが。

そして、一時は自粛でボードゲームカフェすら開店できず、同書の企画が停滞している間に、2022年2月、ウクライナ戦争が勃発。

第二次世界大戦を再現する『主計将校』のプレイ記(寄稿者は辻田真佐憲さん)には、その影響も色濃く出ています。こちらは世界地図の上を「1人1か国」で陣取りしあう戦略級ゲームで、つまり、塹壕の分隊目線ではなく「参謀本部目線」。

ゲームっていわば、仮想の追体験ですよね。小説や映画もそうだけど、ボードゲームの場合は対面で、互いに会話しあいながら追体験する点が、他では得られない集合的なリアリティを生み出してくれます。

もはやわれわれ日本人の多数は、幸いにもガチンコの戦争のリアルって知らないんだけど、もし追体験するならせめて、塹壕も参謀本部も両方知っておくことが、たぶん大事だと思うんですね。

だけど世の中には、なんでお前は「常に参謀本部に居るという前提なんだよ」みたいな人たちが、よその国の戦争を素材にSNSで参謀ごっこを繰り広げ、そこに混じって指揮官ごっこを始めちゃう「専門家」とか(大学の教授ですよ?)が出てきちゃってるんですね。

SNSでバトルする「専門家」を、なぜ信用してはいけないのか|Yonaha Jun
ご報告が遅れましたが、6月26~28日に3回に分けて、経営学者の舟津昌平さんとの対談が「東洋経済オンライン」に掲載になりました!(リンク先は1回目) こちらのnoteをご覧になった、舟津さんと編集者さんが企画して下さったもので、ありがたい限りです。 例によってPRの記事をと思ったのですが、困ったことにいま、国境で...

……いやいや。専門以前に人として、あかんやろ。

そうではない「ボードゲームの可能性」って、なにか? を問いかけるようなお話をさせていただければ、と思っています。7/20(土)、御茶ノ水の順天堂大学まで、多くの方が足をお運びくださるなら幸いです!

(ヘッダー写真は、こちらの販売ショップより。兵隊さんひとりずつに実在した名前を附してあるのも、製作者のヒューマニズムを感じます)

編集部より:この記事は與那覇潤氏のnote 2024年7月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は與那覇潤氏のnoteをご覧ください。