ダライ・ダマは、チベット仏教ゲルグ派の法王の尊称であり、チベットの教化主、観音菩薩の化身の生まれ変わりとされている。現在存命の14世が、 中国の進駐インドにおいて60年以上の亡命生活を送っていることはよく知られている。
このダライ・ラマの継承は、単純に選挙や世襲などによって決定されるものではなく、転生すなわち「生まれ変わり」が条件となっている。これは「転生活仏制度」と呼ばれており、先代のダライ・ ラマが亡くなった場合、その後先代の生まれ変わりとされる人物が探されることとなるのだ。その方法は、高僧たちの瞑想によって行なわれる。それによると、生まれ変わりが誕生している場合、その方角を示すための「しるし」が現れるというのだ。それは奇妙な雲の形が現れる、安置した先代の遺体の頭部がぐるりとその方向に動く、といったものであるという。さらに瞑想を行なうことで、生まれ変わった子どものいる家を具体的に把握し、徹底したチェックを行ない確信がなされた末に迎えに行くという。
ダライ・ラマ14世は、3歳の頃に捜索隊が自宅へ訪れたという。その時の様子は、以下のように伝わっている。探索隊の一行が、生まれ変わりの子どもがいるとされるタクツェル村のある家を訪れ た。そこには3歳ほどのラモという少年がおり、一行は少年の母親に旅の途中であるため泊めて欲しいと伝えた。案内された一行を見ていたラモ少年は、探索隊の一人である高僧ケゥツァン・リンポチェが首に巻いていた数珠を見て「欲しい」とせがんできたという。その数珠は先代13世のものであったというのだ。
のちに、再び少年の家を訪れた高僧たちによって 最終的な試験のようなものが行なわれた。これは、先代13世の遺品とそれと似たような品物を見せて、少年に選んでもらうというものであった。すると、少年の選んだ数珠や杖などの品物が、すべて先代13世が使用していたものであった。これによってラモ少年は間違いなく先代13世の生まれ変わりであると認定され、迎えられたというのである。
現在、14世はこの制度について廃止の意向を示しているという。それは、ダライ・ラマという存在を(特に中国によって) 政治的に利用されることを避けるためであると言われているが、中国は「秩序を損なう」として猛反対しているようだ。ただし14世も最終的にどう考えるかはチベット国民が決めるもの であると述べている。ダライ・ラマの生まれ変わりの継承は、果たして今後どうなるのだろう。
【参考記事・文献】 ・14世ダライ・ラマ法王発見の経緯と
・いま、世界が注視するダライ・ラマ「後継者問題」
【文 黒蠍けいすけ】
【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】
提供元・TOCANA
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