製品トータルでのバランスを重視
そんなiPhoneだが、一般ユーザの間では常に最新の機能を搭載する最先端ガジェットというイメージが強いが、前述のとおり実際は“ちょっと遅れた機能”も多いという指摘もある。実際のところ、どうなのか。ITライターの佐野正弘氏はいう。
「iPhoneの新機種に搭載されるチップなどは最新のものが使われることが多いものの、個別の機能は必ずしも最新というわけではありません。たとえばiPhoneで生体認証機能が搭載されたのは2013年発売のiPhone 5sからですが、日本メーカーの携帯電話では20年も前のガラケーの時代から搭載されていました。カメラモジュールについてもソニーは自社でイメージセンサーを開発・製造して世界シェアが高いこともあり、新機種ではほぼ最新のものを搭載していますが、iPhoneは必ずしもそうではありません。サムスン電子などが既に製品を投入している、画面が折りたためるタイプのスマートフォンも、アップルは5年ほど前くらいから開発に取り組んでいるといわれていますが、いまだに実用化に至っていません」
アップルがiPhoneにあえて最新機能を搭載しない理由は何か。
「ハード・ソフトの製品トータルでのバランスを重視しているためだと考えられます。最新技術ばかり搭載してバッテリーの持ち時間が短くなってしまったり、カメラを強化した結果デザイン的に大きな出っ張りが生じてしまったりすれば、ユーザの使い勝手は悪くなってしまいます。
アップルはハードもiOS含むソフトも両方を自社で開発できる強みを持っているので製品トータルで最適なバランスを実現しやすいですが、他社はOSのアンドロイドをグーグルから提供してもらっていることから、アップルと比べれば制約が多いなかで戦わなければならず、どうしても最新機能をアピールする必要に迫られるという事情もあるかもしれません」(佐野氏)
(文=Business Journal編集部、協力=佐野正弘/ITライター)
提供元・Business Journal
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