日本の政治がスピード感に欠けるのは選挙の前に“連立”を組んで、候補者調整をやることだ。自民党の改憲反対派は自らの反対の意向を秘めて、支持母体の公明党さんに乗るというインチキ保守が多い。自民党100人のうち50人は公明党の支持がなければ当選できないという。言い直せば自民党のうち50人は改憲反対に数えられる。これで自民党は改憲党と言えるのか。

この問題が急転してきたのは、国際情勢の変化が急だからである。ロシアがウクライナにいきなり手を出したのを見れば、習政権が台湾を攻撃する可能性は十分にある。中国は2049年までに米国のGDPと同じになる。軍部は2027年までに中国の軍事力は米国に追いつくと言っている。

国際勢力様変わりの中で、岸田氏は5月のサミットまでは安倍氏のコピー通りだったが、岸田氏が安倍氏の真意までは理解していない。それがバレたからこその不信感だと自覚すべきだ。

屋山 太郎(ややま たろう) 1932(昭和7)年、福岡県生まれ。東北大学文学部仏文科卒業。時事通信社に入社後、政治部記者、解説委員兼編集委員などを歴任。1981年より第二次臨時行政調査会(土光臨調)に参画し、国鉄の分割・民営化を推進した。1987年に退社し、現在政治評論家。著書に『安倍外交で日本は強くなる』など多数。

編集部より:この記事は一般社団法人 日本戦略研究フォーラム 2023年7月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は 日本戦略研究フォーラム公式サイトをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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