矢野経済研究所は9月14日に、国内の葬祭ビジネス関連事業者への面談や文献などを通じて実施した、国内の葬祭ビジネス市場の市場規模、セグメント別の動向、将来展望に関する調査結果を発表した。同調査は、6~8月にかけて行われている。

2022年の「葬祭ビジネス」、死亡者数の増加で前年比106.6% 「家族葬」主流に
(画像=『BCN+R』より 引用)

2022年の葬祭ビジネス市場は回復傾向も、
新型コロナ禍以前の水準には至らず

コロナ禍の2割消失から回復傾向

 調査結果によれば、2022年の葬祭ビジネス市場規模(事業者売上高ベース)は死亡者数の増加にともなって、前年比106.6%の1兆6447億円と推計される。新型コロナ禍の影響で2020年は市場規模が前年比で約2割消失したものの、新型コロナウイルス感染症に関連する行動制限がなくなったことなどを受けて、2021年および2022年は回復傾向にある。

 一方で、終活や新型コロナ禍などをきっかけに、葬儀の在り方について検討する機会が増えたため、家族や近しい親族、故人の親友のみで執り行う小規模な「家族葬」が葬儀形式のスタンダード(主流)化する傾向がみられる。また、「直葬・火葬式」が増えたことにともなって、通夜振る舞いや精進落としといった「飲食費」が著しく減少し、2022年の同市場は新型コロナ禍以前の水準には回復していない。

2022年の「葬祭ビジネス」、死亡者数の増加で前年比106.6% 「家族葬」主流に
(画像=『BCN+R』より 引用)

2022年の葬祭ビジネス市場は葬儀費用が7割超を占める。
新型コロナ禍で飲食費は大幅に縮小

 2022年の葬祭ビジネス市場規模のうち、費目別シェア(構成比)は葬儀費用が73.2%を占めており、飲食費が12.5%、返礼品が14.3%だった。また、費目別の市場規模では、葬儀費用が2019年比94.0%の1兆2039億円、飲食費が2019年比75.8%の2056億円、返礼品が2019年比87.9%の2352億円と推計している。新型コロナ禍の影響によって、とりわけ通夜振る舞いなどの飲食を控える傾向が顕著となり、飲食費の大きな縮小につながった。

 矢野経済研究所は、2023年の葬祭ビジネス市場規模(事業者売上高ベース)を、前年比105.0%の1兆7273億円と予測するとともに、10年後の2032年は2023年比で102.4%となる1兆7684億円と予測している。

 具体的には、高齢者の人口増加にともなって死亡者数が今後も増加するとみられる一方で、葬儀形式においては大人数・高単価の「一般葬」から少人数・低単価の「家族葬」「直葬・火葬式」「樹木葬」などへの移行が進んでいく見通しであり、葬儀単価は死亡者数の増加を上回るペースで下落すると予想する。とはいえ、同市場は底堅い需要によって、今後は回復が見込まれる。

 しかしながら、2032年の予測値でも(新型コロナ禍以前の)2019年の水準には回復しないと予想されるため、実質的には葬祭ビジネス市場はなだらかな縮小傾向にあるものの、長期的には縮小傾向に転じていく可能性が高い。こうした状況を受けて、DXによる業務効率化や高齢期の生活を支えるための住宅や介護に関するサービスなどを提供するライフエンディング事業の拡大など、新たな取り組みを通じて葬祭ビジネス周辺市場が拡がっていくと考えられる。

提供元・BCN+R

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