日本のNATO加盟の可能性

日本はNATOとグローバル・パートナーというNATOの域外協力国としての協力関係にある。すなわち、日本とNATOは自由と民主主義の価値観を共有するパートナーとして、サイバー、海洋安全保障、人道支援、災害救援、危機管理など、国際協力分野における協力を重ねている。日本はベルギー・ブリュッセルにNATO日本政府代表部を設置している。

しかし、日本は正式な加盟国ではないため、他国から武力攻撃されてもNATOによる集団防衛の恩恵を受けることはできない。NATOに加盟するためには、北大西洋条約第5条の「NATO加盟国に対する武力攻撃は、すべての加盟国に対する攻撃とみなす」ことに同意する必要がある。すなわち、他国間の戦争に参戦する義務が生じる。これは全面的な集団的自衛権行使を意味するから憲法9条や「専守防衛」に抵触する可能性がある。

日本がこれをクリアーするためには、憲法9条2項の「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。」に加えて、第3項として「前項の規定は、個別的及び集団的自衛権の行使のための戦力の保持及び行使を妨げない。」と追加改正すればよい。

この改正は自民党が主張する名目的形式的な「自衛隊明記」の改正よりも、日本の安全保障にとって遥かに有益である。なぜなら、この改正によって日本はNATOへの加盟が可能となり、核共有や核保有をしなくても、NATOの核を含む強力な「抑止力」の恩恵を受けることになるからである。

日本のNATO加盟による強力な「抑止力」獲得

以上の通り、日本はNATOへの加盟により中国・ロシア・北朝鮮に対して核を含む強力な「抑止力」を獲得することが明らかである。「尖閣有事」「沖縄有事」の抑止にも極めて有効である。

したがって、日本は、今後、盤石な安全保障体制を確立するために、憲法改正を含め、与野党を超えてNATOへの加盟を実現するためのNATOとの外交交渉に全力を傾注すべきである。

文・加藤 成一/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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