今回の衆議院選挙で大躍進のきっかけとなった国民民主党の「103万円の壁」。与党がこの提案に対して前向きに検討する方向になるようです。
減税によって手取りを増やし、消費を回復させ、税収増につなげるシナリオのようですが、そんなにうまくいくものでしょうか。
減税による税収不足が既に指摘されており、将来の増税は不可避です。また地方自治体の財政不足から公共サービスの低下も懸念されています。国の財政赤字は既に恒常化し債務残高は毎年増える一方ですから、今回の減税だけで終わると思う人はほとんどいないはずです。
とすれば、減税は将来の増税とセットになりますから、減税したからといってそれを消費しようというマインドにはなりません。
減税だけではなく、無駄な歳出カットをセットにして初めて消費しようというマインドが醸成されるのではないでしょうか。
日本でも財政の無駄に対する批判はありますが、抜本的な改革には既得権益者の反対もあって簡単に実現する気配はありません。
私が税金の無駄の筆頭と考えるのがふるさと納税です。ふるさとの応援というそもそもの趣旨を逸脱し、今や自治体の返礼品競争となっています。
ふるさと納税の事務処理コスト、民間の専用サイトへの自治体からの支払い、返礼品とその送付コストなどがすべて税の無駄遣いとなっています。
誰もが無駄だとわかっていても、ふるさと納税利用者が既得権益廃止の声を上げることはありません。
対照的なのがアメリカです。
トランプ次期大統領は減税だけではなく、テスラ創業者のイーロン・マスク氏を新たに立ち上げる「政府効率化省(通称DOGE)」のトップに起用し、大幅な歳出削減に乗り出すと発表しました。
実業界で実績のある経営者を抜擢して、外部からの聖域なきコストカットが始まる可能性が高いと思います。
批判も多いトランプ氏ですが、大胆な人事を実行し過激な政策によって本気でアメリカを偉大な国にするために邁進していくようです。