スイスのワインディングロードでのドライブを満喫!

毎年のように8月の後半に入ると、ドイツのスーパーマーケットではクリスマスのお菓子が並び始めますが、まだまだ暑くて全く購入する気にはなりません。9月に入っても暑い日が続いたのですが、お天気が急降下してあっという間に秋の気配が漂い始めました。ドイツは四季折々の食べ物の楽しみが少ないので、さつまいもに栗や梨やぶどう、サンマに……と日本の秋の味覚が懐かしくなる今日この頃です。

2026シーズンからアウディとして参戦するF1ザウバーチームのファミリーデーに参加。ファクトリー見学は大興奮でした!【池ノ内ミドリのジャーマン日記】
ザウバーモータースポーツの入り口(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

スイスのチューリヒ近郊のヒンヴィルにあるF1チームのザウバーのファミリーデーに友人のエンジニアKくんにご招待を頂き、久々にスイスへ行く事になり、せっかくの機会なので、数日早く家を出て久々に峠を走ってみようと思い立ちました。事前にスイスの天候をチェックしてミュンヘンにある自宅を出た時には晴れていたので大丈夫と思っていたのですが……。

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スイスの2024年用のアウトバーン通行ステッカー フロントガラスに貼ります(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

今回は約10年ぶりにサン・ベルナルディーノを目指します。スイスに陸路で入国するには途中でオーストリアのアウトバーンも通過しますので、オーストリアとスイスのアウトバーンに入る通行ステッカーを購入する必要があります。オーストリアは1日有効券、10日間、他にも2ヶ月や1年有効のものがあり、自家用車・バイク・キャンピングカー等、車両によって料金が違いますが、私は10日有効券を券売機で購入しました。

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オーストリアのアウトバーン料金や料金が必要な道路の券売機 自分のクルマのナンバーを登録する必要あり(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

この券売機では各自の愛車のナンバーを登録して料金を支払いますが、窓口ではステッカータイプのものも購入出来ます。また、スイスの通行料は1年用のみの取り扱いです。あまりスイスへ行く事のない私にはかなり割高ですが、ずっと下道を通るワケにもいかず、仕方がありませんね。(1枚40スイスフラン)

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オーストリアもドイツ同様にトイレの使用にはお金が必要です 50セント 金券としてお店で利用できます(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

ドイツと同様にオーストリアやスイスにもアウトバーンに料金所はありませんので、通行ステッカーをうっかり買い忘れて同国内に入る事も可能ですが、必ず国境に入る手前のガソリンスタンド等で購入しておきましょう。オーストリアでは最高3000ユーロ、スイスは200スイスフランの罰金が科される場合があります。

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まさしくリアルハイジの世界(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

オーストリアを抜けて、サン・ベルナルディーノへ向かう途中にはアルプスの少女ハイジの舞台になったマイエンフェルドも通過。今回は峠への道のりを急いでいましたので近くのサービスエリアにだけ立ち寄ってきました。

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グリムセル峠を下ったところにある小さな村 グッタンネン(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

『Heidi Landハイジの国』と道中のサービスエリアの案内看板にも記載されていますが、特にハイジのグッズが売っているワケではないのが残念。ハイジの里 マイエンフェルドからクールを通ってサン・ベルナルディーノへ向かいますが、スイスのアウトバーンの速度制限は120km/hです。途中に通過したオーストリアのアウトバーンの最高速度は130km/h、たった10km/hの差ですが罰金が非常に高額なので要注意です。

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久々に走るゴッタード峠にワクワク(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

実はクールという町は、実は私が峠にハマるきっかけとなった出発地点。ドイツで運転をし始めた頃、恐らくイタリアのモンツァだったと思うのですが、レース取材に行く途中にここのサービスエリアで休憩をした後に、フト思い立ってアウトバーンをそのまま走るのではなく、ぐにゃぐにゃの細い山道へ入ってみる事にしたのです。『なんとかなる』という持ち前のゆるい性格なので、夕方までにモンツァのサーキットに着けばいいよね、くらいの軽い気持ちです。

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ゴッタード峠の途中 だんだんと雲と同じ高さへ(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

初めて走る酷道的な峠は楽しくて仕方がありませんでした。私の場合は攻める走りには全く興味はなく景色を楽しみたい派。よく分からない峠道を走ったのが始まりで、その後の私のカーライフに大きく影響を与えてくれました(笑)。そんな事を思いながら、クールからサン・ベルナルディーノへアウトバーンで向かいます。

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ゴッタード峠へ向かう途中の峠の茶屋(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

本心を言えば、クールでアウトバーンを降りてサン・ベルナルディーノまでも峠を走りながら、峠へ向かいたかったのですが、雲行きが怪しくなってきたので今回は高速を利用してワープしました。

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サン・ベルナルディーノ峠。まだこの時点まではなんとか見えていましたが、これ以降はもう濃霧と豪雨で超スロー走行で下山(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

なんとかサン・ベルナルディーノの入り口へ辿り着いた時に、運が悪くこの瞬間に雨が降ってきたという感じでしたが、せっかくここまで来たのだからと峠を走る事にしました。私の現在の愛車はBMWのxDrive(四輪駆動)で安定したドライブが出来ますが、過信せずに超安全走行で向かいます。

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サン・ベルナルディーノからの下山中は何も見えずに運転しながら酔いました(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

久々のクネクネ細いヘアピンカーブを上っていきますが、視界の悪い中、猛スピードで降りてくるクルマとすれ違う際にはヒヤヒヤです。狭い道で譲り合いは当然と思ってはいけないのがヨーロッパの峠、全くお構いなしに猛スピードで突っ込んでくるので、常にブレーキペダルを踏めるようにしておかなければなりません(苦笑)。

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サン・ベルナルディーノは悪天候のまままだまだ続く(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

本来ならばスバラシイ景色に感嘆するところですが、視界が更に悪化して真っ白で何も見えません。この日はもっと色んな峠を走り回ろうと思ったのですがギブアップ! 視界が悪すぎて、運転している身ながら気持ち悪くなってきて(笑)、予約しているホテルへ早々と向かいました。

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ハイジ風のホテル!と喜んだのも束の間(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

宿泊した地域はマッジョーレ湖からそう遠くないところで、スイスながらイタリア語圏です。あちらこちらの標識がイタリア語表記なので、まるでイタリアに来たのかと錯覚をしてしまいそうです。スイスは小国ながらドイツ語・フランス語・イタリア語が公用語です。外国に長く住む私ですが、このような多言語国家の国民の方々の脳がどうなっているのか、いつもとても気になるところであり、ウラヤマシイ限りです。

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まだまだ途中ですがゴッタード峠からの眺めに感動(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

翌朝、雨は止んだものの曇り空ですが、雲が少しおりてちょっと神秘的な感じの風景です。朝食後にはゴッタードパス(峠)を目指しました。こちらに来るのも何年ぶりでしょうか。時折雨にも降られましたが、少しずつ空が明るくなってきた気がします。

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ハイジを見て憧れたチーズとろ~りのアレです。ラクレットのお店はまだ開店前(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

頂上の辺りに到着すると湖が広がり、その周りにはおいしそうな焼きソーセージを売るお店や、ちょっと時間は早かったのでオープンしていなかったラクレット(ハイジがアツアツのチーズを垂らして食べるアレです)の露店もありました。

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ヨーゼフを連れて帰りたい(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

ハイジのおじいさんが飼っていたセントバーナード犬のぬいぐるみやカウベル等が並ぶお土産屋さんも営業中でしたが、助手席にヨーゼフを載せて帰りたい気分を押さえてぐっとガマン。

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サステンパス(峠)を走っている途中。何度来ても素晴らしい(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

風が強くて気温は低いですが、晴れ間が見えてきましたので、これまた久々の超定番の峠参りコースで、フルカ→グリムセル→サステンという三峠を走る事にしました。お腹いっぱいにクネクネ道を一日中走り回ったこの日。宿のチェックインは夜8時までと急に思い出して、サステンパスを降りた時点でかなりチェックインには厳しい時間だとナビを見てハッとしました(笑)。

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まさかのフェイク窓。窓なし宿は初めての事で戸惑いました(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

スイスのホテルは本当に高く、ビンボー旅行には大変困りもの。その中でも比較的お手頃(必然的にトイレとシャワーは共同)の宿を予約していました。到着して宿の方にお部屋に案内された時には、まるでハイジ風! と喜んだものの、一瞬でその気分が失せました。まさか部屋の窓がフェイク!? 初めての事にちょっとプチパニックです(笑)。

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峠の上では持ってきた菓子パンの袋が弾けそうなくらいにパンパンに(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

予約していた広い部屋とも違いますし、かなり困惑。私が予約していた本物の窓アリの部屋は、先にチェックインした人に渡したと言われ、いくら抗議しても宿の方は「知らない」の一点張りです。

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山肌には牛さんが放牧されています(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

疲れていた事もあり、仕方がないのでその部屋に泊まるしかありませんでした。その宿はチーズ工房直営の宿でもあり、チーズフォンデュやフォンデュ・シノワーズ(お肉や野菜を串にさしてコンソメ等のスープの中にくぐらせて食べるお料理)が有名らしく、ちょっとお高いけれどディナーに食べようと楽しみにしていたのですが、こんな宿の対応なのでクルマに積んでいたトマトやサラミとバゲットで軽く済ませた事はいうまでもありません。窓のない部屋はとても閉鎖的で息苦しく感じ、疲れているのになかなか寝付けませんでした。

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本当に盛り沢山なイベントで楽しみ過ぎたザウバーでの一日(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

翌朝は早起きをして、F1のザウバーのファクトリーを目指します。これまでも、ザウバー氏がご在籍時代に何度か取材で伺った事があるのですが、随分久しぶりです。宿は標高が高かった事もあり、空気が澄んだ朝の爽やかな田舎道を約40分ドライブして向かいました。

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早速アウディの試乗コーナーも(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

指定された来場者用の駐車場にクルマを停めて、ファクトリーまではシャトルバスで向かうと、入り口でザウバーに勤務するエンジニアKくんが待っていてくれました。他にもKくんのお友達ファミリーを少し待って、いよいよ一緒に入場です! 入り口では事前に個人名で登録されていたQRコードでチェックインし、ドリンクとフードのチケットを無料で頂きました。

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ランチ時は人が多過ぎて大行列でしたので、ちょっと時間を置いてからフードとドリンクを頂きました(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

このファミリーデーには初めて訪れたのですが、社員さんがガイド役を務めながら家族や友人に職場の案内をしてくれる仕組みのようです。ファクトリー内の大半に超機密機材が数多く設置されているとあり、当然ながら写真撮影はNGです。フェラーリやメルセデス、レッドブルのファクトリーに比べればめちゃくちゃ小さいよというKくんですが、私にとってはまるで迷路のような大きな施設でした。

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中国人ドライバーの周さん(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

極端な事を言うと、ネジ1本から大きなカーボンパーツやエンジンまで、どれだけの多くのスタッフ方々の地道な小さな作業の積み重ねでF1マシンが造られ、世界最高峰クラスのモータースポーツに挑んでいるのかという過程をじっくり見せて頂きました。

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今季まだノーポイントのボッタスですが、めちゃくちゃ大人気でした(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

各セクションには、日頃その業務をこなしておられる方々がガイド役で待っていてくださり、ご自身達のお仕事の内容についてご説明頂きました。F1マシンの中には信じられない程の多くの細いケーブルが張り巡らされていて、数多くのセンサーによってマシンの細かな動作や振動、空気の流れをはじめ相当な項目の測定しながら走っているのには驚きました。

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レース好きにはトランポを見るだけでもテンションが上がります 中は私のアパートよりもずっと広かったです(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

普段、友人Kくんが働いているオフィスはこんな風になっているのね~と関心し、風洞やシミュレーター等、あまりにも多くの事を1日で見せて頂いたので、アタマがフリーズしそうになったのは言うまでもありません(笑)。

2026シーズンからアウディとして参戦するF1ザウバーチームのファミリーデーに参加。ファクトリー見学は大興奮でした!【池ノ内ミドリのジャーマン日記】
旧車を使用してのピットストップ体験コーナー(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

現在シーズン真っ只中で活躍中のバルテリ・ボッタスと周冠宇の両ドライバーも駆けつけてトークショーやサイン会にも行われましたが、サイン会にはとてもとても長い行列が出来ていました。特にボッタスは一体何時間サインを書き続けていたのか? という感じです。いまだ今季は獲得ポイントゼロという厳しい状況ですが、現在様々な人事が入れ替わって改革中のようですので、この先に期待して応援したいと思います。

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F1マシンは映像よりもかなり大きく感じます(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

ザウバーのあるヒンヴィルから自宅までは途中オーストリアを含めて三ヶ国約300kmの道のりですが、燃料の心配もなかった事からノンストップで走行して帰宅しました。スイスもオーストリアもオービスが怖くてかなりセーブしていましたので、ドイツ領の速度制限解除になった途端に楽しく踏んでスッキリしました(笑)。スイスは本当に美しく、リアルハイジの世界ですし、ステキな道がたくさんあって、高いガソリンと宿代を惜しみなく出せるのなら、何度も走りに行きたい気分です。

文・池ノ内 ミドリ/提供元・CARSMEET WEB

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