レクサスLBXにパフォーマンスモデルのMORIZO RRが追加されたのはご存知だと思うが、市街地でも試乗することができたのでお伝えしよう。
レクサスLBXはそもそもレクサスブランドのプレミアムコンパクトハッチバックで、Bセグメントサイズの大きさだ。このLBXにGRヤリスと同様の1.6L 3気筒ターボエンジンを搭載し、ボディやインテリア、サスペンションまで専用開発したスペシャルモデルだ。
豊田章男会長を中心に開発されたLBX MORIZO RRは、サーキット走行も視野に入れつつ、レクサスブランドだけにスポーツ性能だけでなく、静粛性や快適性も重視している点がGRヤリス、GRカローラなどと一線を画している点だ。このLBX MORIZO RRの詳細な解説はこちらを参照してほしい。
つまり、サーキットは1年に何度か走行するものの、中心的な使い方となるのは一般道を想定しているように感じる。車両自体はダイレクト感のあるサーキット仕様に仕上げていくものの、街乗りをしても疲れないBセグメントハッチバックという素性を殺さない仕上げ方だと感じるからだ。
もともとLBXはスニーカーのように、というコンセプトも持っていてバリバリの競技車両を目指すベース車ではないことも背景にはある。
だから、ピットレーンから出発ではなく、ガレージから動き出してみると、意外にもスラスト音があって、チューニングカー的な雰囲気を敏感に感じるのだ。周囲の車両に速度を合わせて走行していると足回りは硬めで継ぎ目や凸凹での突き上げは強めに入ってくる。だが、そのままサーキットに向かいコースで走行するとこの程度のダンパー、スプリングがちょうど良い塩梅になっていると感じるのだ。
シートはセミバケットで体にフィットしながらも、日常ユースができる程度のゆるさがあって、これもいい塩梅だと感じる。ややアップライトなポジションがそう感じさせる要因かもしれない。だから常にサーキットを感じさせるスパルタンな印象を持たせることも、このクルマの特徴のひとつと言えるのだ。
もちろんハードパーツもサーキット走行ができるようにチューニングされており、AWDではノーマルが6:4の駆動配分で連続可変だが、5:5にも変更できるようになっている。すると市街地でもノーズの入りが良くなり、キュンキュン旋回し、その違いも楽しい。
逆に静粛性ではそれなりの音が常に出ていて、レクサスらしい静粛性は失っている。それがMORIZO RRだ。
では具体的にどんなチューニングをしているのか覗いてみると、エンジンはG16E-GTS型で高い過給圧によって304ps/6500rpm、400Nm/3250~4600rpmという高出力になっている。ミッションは8速ダイレクトシフトATと6速MTの2タイプを組み合わせている。
サスペンションではフロント・ロアアームに樹脂補強式のロアアームを採用し、またリヤはピロボールを使用したダブルウイッシュボーンとしており、ステアリングレスポンス、スタビリティの向上をしている。
これらの改良により、エンジンパワーの満足感と、加速フィール、レスポンスの良さへの爽快感は高く、直進性の高い安定した走りを体感することができる。また冒頭に書いた機械同士が擦れるスラスト音はこうしたハンドリングとエンジンフィールとシンクロするように感じられ、レーシーな気分には浸れる。
特にスポーツモードを選択すると、エンジンサウンドがスピーカーを使って車内に響き渡らせ、ヘルメットを被った時でも音が聞こえるように、という狙いで音がつくられている。こうした遊び心は要・不要の意見はあるだろうが、走りを楽しむ演出のひとつとして設定しているわけだ。
エクステリアもMORIZO RR専用パーツが奢られている。専用のバンパー、フロントグリル、ドアモール、そして19インチのアルミ鍛造ホイールを装備し、ノーマルLBXとは全く異なるモデルであることがひと目で目立つ仕様になっている。
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