“死の笛”の音色を聴くとどうなるのか? 不気味なドクロの形をした「アステカの死の笛」の恐ろしい音色の効果を音響心理学からアプローチした研究が発表され話題となっている。
■“死の笛”の音色を聴くと脳はどうなるのか?
1999年にメキシコシティのトラテロルコ遺跡で発掘された人身供養で弔われた20歳の犠牲者の遺体はさまざまな楽器を握っており、その中には小さな陶器のドクロの形をした笛があった。
その笛を吹いてみると、聴いた者全員の背筋を凍らせる恐ろしい「断末魔の叫び」が奏でられたことから、後に「アステカの死の笛」と呼ばれ注目を集めることになった。いったいどのような目的でこの笛が使われていたのだろうか。
スイスのチューリッヒ大学をはじめとする研究チームが先日「Communications Psychology」で発表した研究では、この恐ろしい笛の音色がリスナーの脳に与える影響を分析し、その音が聴覚皮質を警戒状態に陥れることを報告している。
「私たちの実験に参加した人は、ドクロ笛の音を非常に否定的なものと評価し、特に“主に恐ろしく嫌悪感を抱かせるもの”と分類した。これは、緊急の反応傾向を引き起こし、進行中の精神プロセスを妨げる可能性もあります」(研究論文より)
研究チームは一連の神経画像化技術を使用して、この笛の恐ろしい音を聴くことが、低次の聴覚皮質領域内の「非常に特定の脳活動」に関連していることを発見した。
西暦1250年から1521年の間にさかのぼる墓から発見されているアステカの死の笛は、通常、人間の頭蓋骨の形に似せて作られ、多数の気流が衝突できるように設計されており「甲高く、鋭く、叫び声のような音質」を生み出す。
アステカの死の笛の音色は戦場で敵を恐怖に陥れるために使われたと推測されている一方、生贄の犠牲者の遺骨のそばで頻繁に発見されていることから笛には儀式的な役割があったのではないかという説もある。
一部の専門家は、死の笛は、生贄に降臨すると信じられていたアステカの冥界「ミクトラン(Mictlan)」で、吹きすさぶ鋭い風切り音を模倣することを意図していたと説明している。あるいはこの音は、死者の骨から人類を創造したアステカの風の神、エエカトルを表すものだったと考える専門家もいるようだ。
笛がどのように使われたかについてより深い洞察を得るために、研究者らは現代のヨーロッパ人のボランティアを対象に一連の心理音響実験を行った。研究者らは、死の叫びを聞いた参加者の神経的および心理的反応を記録し、脳がその音を分類するのに苦労していることを発見した。その音は「自然と人工のハイブリッド起源」として認識されていたのだ。
「ドクロ笛の音は、自然とテクノロジーによって生み出され、嫌悪感を与える“驚愕”の音を感情的に模倣することで、精神的な注意を引き付けます」(研究論文より)
つまりサスペンス映画の効果音のように注意を喚起する音であり、その恐ろしい音色は、脳がその音の象徴的意味を特定しようと苦労する中で、想像力をかき立てるものであった。研究者らは笛が「儀式的な文脈で使用されている可能性が非常に高いと思われる。特に死者に関連する犠牲の儀式や式典での使用である」と結論付けている。
アステカの死の笛は人身御供や儀式の観衆を怖がらせるための演出に使われた可能性があるということだ。下記にアステカの死の笛の音源が再生されるYouTube動画を紹介するが、もちろん聴くか聴かないかはアナタ次第だ。
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
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