こうしたバラバラの国家をまとめる上で司法が最終的な決定権をもつため、連邦最高裁の判決がしばしば歴史を動かす。南北戦争は奴隷を解放する判決がきっかけで起こり、妊娠中絶の合法化は一人の女性が州政府に対して起こした訴訟が原因だった。こういう司法が強すぎる「国のかたち」には批判も多いが、共通点のない個人をルールでまとめる制度はグローバルには強い。

本書は10年前に出た本を書き直した新版で、旧版より記述がかなり整理されている。日本とはまったく違う国の憲法だが、役所の法的根拠のない「指導」に素直に従う日本人が、このように徹底した法の支配に学ぶべき点は多い。