ファビオ・カリーレ監督 写真:Getty Images

 ブラジル1部昇格を果たしたサントスは、ブラジル代表FWネイマール(アル・ヒラル)を獲得する可能性が報じられる中、11月18日にファビオ・カリーレ監督の解任を公式発表。サントスや同監督は二重契約を巡る問題でV・ファーレン長崎から訴えられていることで有名だが、今回の監督交代がMFジョアン・シミッチ(元名古屋グランパス、川崎フロンターレ所属)の去就に影響を与えるかもしれない。

 カリーレ氏を巡っては、長崎が2023年12月4日に2024シーズンの契約更新を公式発表したにもかかわらず、サントスがおよそ2週間後の19日に招へいを発表。両クラブ幹部は2024年1月12日に協議したが、サントスは協議終了直後に「サントスはカリーレ監督と長崎の契約が今年1月1日に終了していたことを把握。長崎との交渉を正式に終了した」と、違約金の支払いに応じない姿勢を見せた。

 これを受けて、長崎は2月15日に「カリーレ監督及びレアンドロコーチ・デニスコーチ・セザールコーチからの契約破棄に伴う違約金等の請求に関して、2月15日にFIFA(国際サッカー連盟)への提訴が完了した」と報告。しかしFIFAは8月31日に「FIFAでは裁定ができない」と通達。

 長崎は「この決定は、カリーレ氏らの一方的な契約破棄を正当なものと認めたものではなく、FIFAが判断の主体として適当ではないことのみを示したに過ぎません。したがって、当クラブは今回の決定を精査し、改めて適切な法的機関にて適切な判断を求めるべく、今後の対応を検討してまいります」としている。

 そんなカリーレ監督率いるサントスは、11月11日開催のブラジル2部リーグ戦で勝利し、1年での1部復帰を決めたが、ファン・サポーターからの批判が相次ぐと、クラブは監督交代に踏み切った。

 一方、シミッチは2023年に川崎を退団し、サントスへ加入。シーズン序盤の活躍もあり、すでに2025年12月まで契約延長しているが、2024年1月のサントス入団会見では「日本にいた時もカリーレは僕のことをずっと追いかけていたと言っていた。ディビジョンもクラブも違うから、直接的な関わりはなかったけれど、彼は素晴らしい監督でいいアイディアを持っているから、関係は良好だよ」などとコメント。サントス移籍の理由に元長崎指揮官の存在があるだけに、今回の監督交代を受けて移籍を検討する可能性も考えられそうだ。