だが、例えばエネルギー価格が下がると盟友のプーチンの利益に反する事も含め、複雑系の方程式となり、少なくとも形が見えてくるまでは世界経済は乱気流に見舞われるだろう。その乱気流が疑心暗鬼の中で世界経済に危機をもたらすリスクは有り得る。
③ 中東危機からの第三次世界大戦筆者は、トランプが最大の潜在的脅威と見做す中国に対しては、プーチンとの結束力の強さから、実質的な同盟関係を結ぶと考えている。進んでは我が国も「日米露三国同盟」「日米露印四国協商」で喰い込むべしと予てから唱えほぼ皆からスルーされているが、それはともかく中国の牙を抜きアジアを安定させるためには、米露を中心に拡大中国包囲網を形成する以外の解は無い。
そのため上記①②を乗り切れれば、習近平の出方次第で曲折はあるが、筆者はそこにトランプの取るであろう戦略的不透明さを見出さない。なおこの大きな枠組みが決まれば、朝鮮半島の安定もオマケで付いて来るだろう。
順番は前後するが、トランプ・プーチン ラインでウクライナ戦争を早期に終わらせて欧州を安定させ、アジアの安定にも目途を付けたら、中東の平定が待っている。
この両者のラインの延長・応用で、トランプの親イスラエル側からのアプローチと、近年プーチンのイランの後見人的ポジションを擦り合わせて、何とか中東も安定に持って行って欲しいものだが、この火薬庫の取り扱いを間違えれば第三次世界大戦を招きかねない。
トランプは不動産屋時代の経験を応用して各プレイヤーに呑ませるディールのスキームを描くだろうが、恐らく少なくともトランプの在任中にはこのスキームは完成せず小康状態に持ち込むのが限界となるのではないか。やはり中東が今後の世界の最大のリスクと言えるだろう。
トランプ再選で世界は大きな変革の時代を迎える。変革の時代には上に挙げた以外にも様々なリスクが立ち現れる。
筆者は今後の時代を「偽善の時代の終わりの始まり」と捉える。偽善を成り立たせるものは何だろうか。それは自分達だけが選ばれし者と言うエリート意識と、それ故に下々の者は家畜として奉仕すればよいという歪んだ感情、そしてそれに盲目的に従う事勿れ主義だ。これらの逆を行く事。それが即ち今後の時代に必要なマインドセットであると筆者には思われる。