経営コンサルの使い方
武蔵野が大きくクローズアップされたきっかけが、昨年に北海道知床半島の沖合で発生した遊覧船沈没事故だ。遊覧船を運営していた会社「知床遊覧船」が武蔵野による経営コンサルティングを受けていたことが判明。知床遊覧船では代表の桂田精一氏が法律上の資格要件を満たしていないまま遊覧船の安全統括管理者と運航管理者を務め、さらに経験豊富な船長らを解雇して操船の経験が不十分な人間に船長を任せていたことなどが明らかになり、武蔵野は次のリリースを発表するに至った。
「当該記事執筆時点、あるいは私、小山の知床訪問時点では、あくまでも事業(遊覧船)引き継ぎ(買収)に当たっての総合的な経営判断の観点からのアドバイスをさせていただきました」
「従業員の解雇についての相談は受けておりませんので、事実経過については把握しておりません」
前出の中堅IT企業役員はいう。
「武蔵野ほどの有名コンサル企業がクライアント企業に不正行為や社員へのパワハラ的行為、解雇の実施を勧めるはずはなく、あくまでコンサルという第三者の立場で助言をしたにすぎないので、さすがにビッグモーターの不正について武蔵野に何か責任があるかのような言い方には無理がある。経営計画書の件も環境整備の件も、ビッグモーターが武蔵野の指南を過度な利益追求のために悪用したというのが正しい言い方ではないか」
また、中堅マーケティング会社役員はいう。
「無能な経営者ほど、コンサルの話や経営本の話を鵜呑みにして、そのまま自社に導入しようとして失敗する。ビッグモーターの前社長がコンサルの指南をより高い利益の追求のために『アレンジ』していたのだとすれば、経営者としてはある意味で『賢い』といえる。ある企業でうまくいった仕組みや手法が別の企業では通用しないということは当たり前にあり、業種や企業の特徴によって適応するメソッドは違ってくる。例えば楽天では経営陣含め全社員が定期的にオフィスの掃除をしているが、同じIT企業のグーグルはそんなことはやっていないだろう。要は経営者が自社の事業や風土、社員構成に適した仕組みを導入できるかどうか。極端な話をすれば、ビッグモーターが社員に平均年収1000万円といわれる高額な給与を払えるほど業績的には良かったということは、その経営の手法がビッグモーターという会社・業種にマッチしていたともいえる。でもそれが法的・倫理的にアウトでしたということで問題になっている」
今後ビッグモーターにのしかかる損害賠償の規模や行政処分の内容は計り知れず、道を外れた経営を行ってきた代償は大きい。
(文=Business Journal編集部)
提供元・Business Journal
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