ふるさと納税といえば、「返礼品がもらえる」「節税できる」といった印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。メリットも多い一方で、制度の仕組みを正しく理解せずにいると、想定とは違う結果となる可能性もあります。今回は、ふるさと納税のメリットを最大限生かせるように、仕組みや注意点を解説します。

目次
ふるさと納税で住民税が控除される仕組み
寄付すると住民税・所得税が安くなる? 
 ・所得の高い人ほどたくさんふるさと納税ができる

ふるさと納税で住民税が控除される仕組み

ふるさと納税は、居住している自治体以外(生まれ故郷や応援している地域など)に納税することで、返礼品がもらえる。

このように理解している方は多いと思います。そしてその理解は間違っていません。ふるさと納税の成り立ちからも、生まれ育ったふるさとへの貢献をはじめ、現在住んでいなくても“応援したいまち”に税金を納めることはできないだろうか、とはじまった制度です。

税金には国税と地方税の2種類があります。地方自治体に納める税金は地方税にあたります。一方で給与など所得に対してかかる税金は国税です。「ふるさとに納税したい」ということは、地方税の支払先を変えたい、ということになります。

国は既存制度のさまざま制約などを考慮した結果、法律上の制度として、寄附金税制を活用することとしました。また地方税の問題として国税と切り離すのではなく、地方自治体と国が双方で役割をになうべきだとして、所得税と住民税のどちらをも対象とする制度となりました。

寄付すると住民税・所得税が安くなる? 

仕組み上は所得税と住民税が控除の対象になります。しかし実際に控除を受けるためには、自らふるさと納税をしたと申請する必要があります。申請の方法は2種類あって「確定申告」か「ワンストップ特例制度」という方法から選びます。

ふるさと納税で寄付をし確定申告をすると、自己負担額の2,000円を除いた寄付金の全額が、所得税および住民税から控除されます。

申告方法を確定申告でなくワンストップ特例を使う場合には、住民税のみから控除されることになります。

いずれの方法でも、もともと支払う税金を、ふるさと納税によって先に納める形、つまり先払いすることなります。所得税については、一度納めた税金から控除分が戻ってくる(還付)形、住民税については翌年支払う分の税金(の一部)を先払いする形となります。

ふるさと納税をしていないときに比べて納税金額は、個人として納める金額には変わりはありません。納め先の自治体が変わるのみです。返礼品が受け取れることが、ふるさと納税の最大のメリットといえます。

また、本来税金を納める必要のない人は、ふるさと納税をしても控除はありません。パートやアルバイトで103万円以下の収入だった場合にも、給与所得控除額の55万円と基礎控除額の48万円で所得税がかからない状態なので、控除がありません。

所得の高い人ほどたくさんふるさと納税ができる

税金をたくさん納める必要のある人、つまり所得の高い人ほど、住民税も高額納税となります。そのために、高額納税者ほど、たくさんふるさと納税制度を活用できることとなります。つまり、日本の税制で数少ない、高額納税者に有利な制度でもあるのです。

この制度をたくさん活用したとしても、税負担が高くなることはありません。もちろん限度額を超えてしまうと、ただ納税しただけとなってしまいますので、どこまでふるさと納税できるかは計算する必要があります。