検察への怒りが政界再編の発火点になった
今回は2まで、30年前と同じである。リクルート事件も当初は大型の贈収賄事件と思われたが、職務権限の壁があって2人以外は収賄で起訴できず、会計責任者だけで終わった。
これに国民の怒りが高まり、内閣改造でリクルート関係議員を追放したが、その後も金丸の5億円事件などが起こり、小沢グループが離党して自民党が分裂した。
これは当時としては予想外の展開だった。私は6月18日の内閣不信任案可決のとき、国会で中継車にいたが、最後の瞬間まで自民党内で「落とし所」が見つかるだろうと誰もが思っていた。
小沢も当初は離党するつもりはなく、宮沢内閣を総辞職に追い込んで竹下派主導の新政権を樹立し、守旧派を追放するつもりだったようだが、肝心の竹下派の主導権をとれず、自分たちが離党するはめになった。
通常国会の内閣不信任案が焦点今回も通常国会が大荒れになって、内閣不信任案が出ることは十分予想される。それに対して岸田政権が安倍派の離党勧告といった強硬な処分でスケープゴートにする戦術も、30年前と同じだろう。
それが政界再編に結びつくかどうかは疑問である。今回の裏金問題はリクルート事件ほど深刻な汚職事件ではなく、今の安倍派には当時の竹下派のように党を割るエネルギーがない。野党にも自民党の「汚れた部分」の安倍派と合流する大義名分がない。そして何よりも、一人で政局を動かす小沢のようなキーマンがいない。
しかし政局が流動化している点は30年前に似ているので、何かのアクシデントで不信任案が可決されると、岸田首相は解散に追い込まれる。野党が(たとえば)小池百合子を立てて総選挙にのぞみ、そこに自民党からの離党組が合流すれば、30年前のような大逆転もあるかもしれない。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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