一方で、エンゴロン判事がトランプ氏の企業に設置を命じた監視人により、敗訴した場合に全額支払うことが確保されているとも説明。ニューヨークに所有する不動産だけで十分に用意が可能だと主張した。

これに対して、州側の弁護士は控訴裁判所に提出した文書で「被告は判決額の4分の1未満を進んで差し出すのであるから、全額のボンドや預け金は不要だという主張には何の根拠もない」と反論。「被告は判決を満たすだけの流動資産がないことを認めたも同然だが、そうするために資金を調達する必要がある」と異議を唱えた。

なお、フォーブス誌の昨年の推定では、トランプ氏の純資産は26億ドルで、現金と流動資産は4億2,600万とされている。トランプ氏も昨年の証言録取で、現金資産を4億ドル以上と自ら証言していた。

USA Todayによると28日、ニューヨーク州裁判所控訴部のアニル・シン判事は暫定的に、トランプ氏は全額のボンドを差し出さなければならないとし、3年間の融資禁止も有効だとした。ただし、トランプ氏の息子二人に対する経営参加については控訴中は許可するとした。エンゴロン判事は、トランプ氏に今後3年間ニューヨークのいかなる企業の役員および取締役に就任することを禁止するとともに、長男ジュニア氏と次男エリック氏にも経営に2年間携わることを禁じていた。

トランプ氏が控訴中に支払うべき額は、来月、5人の控訴裁判所判事による委員会によって審理されるという。

サイ判事はまた、ニューヨーク州司法長官による反論の提出期限を3月11日とし、トランプ氏は3月18日までにこれに回答することと定めた。

レティシア・ジェームズ司法長官は先日、ABCニュースのインタビューに応じ、トランプ氏が判決金を支払わなかった場合、不動産を差し押さえる可能性を示唆している

同裁判に加えて、トランプ氏は1月に判決が下った女性作家との名誉毀損訴訟でも8,330万ドルの支払いを命じられている。