映画『オズの魔法使い』(1939)では、主人公の少女ドロシーが、魔法使いの国に行く道しるべとして、小人たちに「黄色いレンガ道をたどれ(Follow the Yellow Brick Road)」と教わります。
2022年にアメリカの海洋探査団体・Ocean Exploration Trust(OET)がハワイ沖の深海底に見つけたのは、そんなおとぎ話を彷彿とさせる不思議な痕跡でした。
OETが報告したのは、ハワイ諸島北の水深3000メートルの海底にある、石畳の歩道のような構造です。
探査チームは、その色合いや石のユニークな割れ目から「黄色いレンガ道(Yellow Brick Road)」と呼んでいます。
しかし深海にレンガ道があるわけがありません。これは一体なんなのでしょうか。
目次
- 深海に見つかった人工物のような謎の構造
- 「黄色いレンガ道」の正体とは?
深海に見つかった人工物のような謎の構造
OETの研究チームは、毎日、探査船ノーチラス号から撮影された海洋映像を「ノーチラス・ライブ(Nautilus Live)」として配信する取り組みを行っています。
今回の「黄色いレンガ道」は、北西ハワイ諸島のパパハナウモクアケア海洋ナショナル・モニュメント(PMNM)で発見されたものです。
PMNMは世界最大級の海洋保護区で、アメリカの国立公園すべてを合わせたより広く、まだ全体の3パーセントほどしか探査されていません。
その中でOETは現在、PMNM内のリリウオカラニ(Liliʻuokalani)尾根の水深3000メートル付近の海底探査を進めています。
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「黄色いレンガ道」は、チームの操縦する無人潜水艇によって偶然発見されました。
3000メートルもの海底にあるにもかかわらず、驚くほど乾燥しているように見え、レンガによく似た形に割れています。
発見時のライブ映像には、「これはアトランティスへの道だ」という声や、「黄色いレンガ道?」といった探査チームの声が聞こえます。
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「黄色いレンガ道」の正体とは?
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