イオンカードを不正利用され、カード会社に連絡しても止めてもらえず、何カ月も不正利用が続いているとの悲鳴がXに投稿され、大きな話題になっている。不正利用があった場合、とりあえずカードを止めて、その後はカード会社が調査を行い、利用者に落ち度がなければ補償を受けられる。だが、カードを止めてもらえない場合、どのように対処すればいいのだろうか。一般社団法人日本クレジット協会に聞くと、「まずカードを止めなければ対処のしようがない」という。また、イオンに聞いたところ、対応に苦慮している現状を吐露する。
イオン銀行とイオンフィナンシャルサービスは10月8日、公式サイト上で「【重要】フィッシングメールや不正利用などの被害にあわれたお客さまへ」と題する声明を発表。そのなかで、「詐欺被害にあわれたお客さまへの対応にお時間がかかっていることについてお詫び申し上げます」と謝罪。続けて「被害実態や複雑かつ巧妙化する犯罪手口の解明と被害金額の特定および返金処理などに時間を要しており、結果としてお客さまに多大なご心配とご迷惑をお掛けしている事実は否めません」と釈明している。
一体なにがあったのだろうか。X上には次のような投稿が相次いでいる。
「イオンカードの不正利用が六月に発覚し、止めてほしいと依頼しても利用が止まることはなく、8月までに30万近く支払いました。口座を解約(公共料金などの支払いも変更することに)し、新たな口座を開いたのです…が、また不正利用。恐怖しかありません。そして全く連絡くれないイオン」
「イオンクレジットカードに数十万円請求→イオンに不正利用連絡→カード止めます→カード再発行→返金の補償が効くか検討するから、3〜6ヶ月待って下さい→まずはそのまま数十万円を支払ってて下さい?え 支払いました カードは止めて再発行済だけど お金返ってくるのか不安しかない」
つまり、イオンカードが不正利用され、カード会社に止めてほしいと頼んだにもかかわらず、不正利用が続いている、という報告が相次いでいるのだ。一般社団法人日本クレジット協会によると、「通常、クレジットカードは不正利用や紛失などがあった場合、カード会社に連絡すれば即日、止めてもらえる」という。
「一般的には、不正利用が発覚→カード会社へ連絡→カードを止める→カード会社が調査(カード会員に過失がなかったか等)→利用規約に照らし補償対象に当たるか確認(記載されている対象期間内での申告があったか等)→補償へ、という流れです」(一般社団法人日本クレジット協会)
不正利用の届け出から、調査が終了して補償を得られるまでの期間はどのくらいなのだろうか。
「それはカード会社によっても違いますし、ケースによっても変わるかと思います」(同)
調査に時間がかかるのは理解できるが、不正利用が疑われる連絡を入れたら、カードを止めるのは即日対応してもらえるのではないだろうか。
「ほとんどのカード会社で、専用窓口を設けるなどして即日対応する体制を取っていると思います。報じられているイオンカードでも同様のはずです」(同)
カード会社に対応を求めている間にも不正利用が続いている場合、消費者(カード会員)側で取り得る対策はあるだろうか。
「カード会社にいち早く連絡して止めてもらう以外には思い当たりません。私たちは、利用明細などを小まめにチェックし、不正に気付いたら早くカード会社に連絡して止めてもらうようにとの啓発をしています。それも、即日カードを止められることが前提となっています」(同)
イオンカード、なぜ即日利用を止めることができない?
カードを止めてもらわないかぎり、被害に遭った側としては取りうる対応はなかなかないのかもしれないということだ。では、イオンカードはなぜ利用を止められないのだろうか。イオンカードを展開するイオンフィナンシャルサービス広報部に話を聞いた。
――不正利用の被害者が、カードを止めてほしいと連絡をしたのに対応してもらえないとの投稿が話題になっています。
広報担当者「カードは止めているのですが、オフラインでの少額取引に関しては止めることができない状況です。詳細な手口については、今後の被害拡大を防ぐためにも控えさせてください。ただ、その対策についても関係各所と協議中です」
――カードについては即日止めてもらえるということですね。
広報担当者「カードは連絡を頂いたら即日止めますが、連携先との関係で利用を完全に止めるまでに時間がかかる場合があります」
――カードを止めてほしいと連絡をしても被害が続いている、とイオンカードの名前が挙がっていますが、他社のカードでも同じ被害に遭う恐れはあるのでしょうか。
広報担当者「おそらく他社でも同じ仕組みのはずですので、同じ状況になっているかと思います。もともと、イオンカードの名を騙ったフィッシングメールが大量にばら撒かれているという事実があり、我々の会員様が多いので、一部の方が詐欺被害に遭われているのかと思います。そのフィッシングメールも、最近は非常に精巧で、イオンカードが発信するメールをコピーした形なので見分けるのが難しくなっており、被害に遭われる方も多く、お客様にご迷惑をおかけしています。詐欺に遭われる方が多いので、確認作業等にお時間がかかっているのも事実です。ただ、本物のメールはURLを踏ませることはありません」
――具体的に詐欺被害を減らすための対策は取られているのでしょうか。
広報担当者「関係各所と協議を進めており、不正利用の調査が遅れているところについては課題として認識しているので、最優先で対応を進めております」
――被害に遭わないために、消費者側として取るべき対策などはありますか。
広報担当者「我々からURLを踏ませるようなメールはお送りしていないので、メールにURLが記載されている場合には、決してリンク先に飛んだり、カード情報を入れることはしないでいただきたいと思います。被害に遭われている方は、フィッシングメールから情報を盗まれているケースが多いと認識しています。ほかにも手口はあるのですが、それがもっとも多いようです。当社HPの『暮らしのマネーサイト』にも注意すべきポイントをお知らせしていますので、ご参照いただければと思います」
SNS上で言われているような「不正利用されているのにカードを止めてもらえない」というのは事実ではないようだが、詐欺グループ側の手口が巧妙化し、被害を食い止めるのに時間がかかっているというのが実情らしい。まずは、被害に遭わないように、私たちもできうる対策はとっておきたい。
(文=Business Journal編集部)
提供元・Business Journal
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