異常気象への備え
司馬遼太郎の「国盗り物語」に美濃で長良川が大氾濫した話が出てきます。1534年の大洪水で長良川の位置が一夜にしてそっくり変わったともされます。その後も何度も氾濫を繰り返したこの川の歴史は気象と人間の戦いであったともいえるでしょう。そんな中、近年、世界各地で起きる異常気象は想定域を超えており、高度に進化した都市機能を破壊するほどの力を持っています。ニューヨークでは大雨で地下鉄が止まり、非常事態宣言が出ています。
都市では地下構築物に高度な機能を持たせていることから想定を超えた事態が起こった場合の機能不全とその影響力は計り知れないものがあります。日本のように常に自然災害と向き合いながら時代を経てきた国と未経験で想定を超えた場合のバックアップがない国とでは大いなる違いがあります。昨日、熱海に行ったのですが、山間にこれでもか、とホテルや住宅が林立するその様子をみると地盤に対する過信が無いとも言い切れません。横浜市の郊外には昭和の住宅ブームの際に作られた住宅が林立しています。勾配地の住宅地が崩れないのは山や丘全体をコーティングするように舗装をして排水機能を持たせているからで地山の場合は簡単に崩れるリスクがあります。
高床式住宅とは雪国でよく見られる自衛策の一つですが、近年のゲリラ豪雨で床上、床下浸水が頻繁に起きている現状を考えれば土地の低いところの自衛としての高床的なアイディアは悪くないのかもしれません。もちろん住宅に入るのに階段が余計に必要というデメリットもありますが、「備えあれば憂いなし」という言葉は含蓄があるものです。カナダでは雨が降るから電力は水力発電という方程式があるのですが、個人的にはそれがアダになることもあるのだろうと考えています。今、世界はそれぐらい想定を超えた気象状況と戦わねばならないともいえそうです。
後記 久々に京都に用事があり行っていたのですが、余りの外国人の多さに「ここは日本?」と思ってしまったほどです。東京よりはるかに混雑し、外国人の比率は極めて高いです。オーバーツーリズムと言いますが、京都の店舗では商魂たくましく英語で対応、尋常ではないほどの飲食店が共存できるのも外国人さまのおかげなのでしょう。街は美しく整備され、日本の観光地の顔として大いに繁栄しています。おっとこんなこと書くと京都人からご批判を受けそうですが「お宅、まだ100年なら新参者」と言われる独特の文化は外国人には理解不能なのでしょう。名古屋人や大阪人学の本はあるのに京都人学の本が見つからないのが不思議です。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年9月30日の記事より転載させていただきました。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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