特殊詐欺の受け子や出し子、強盗など、犯罪の実行役を募集する「闇バイト」が増加しているとして、警察庁は注意を呼び掛けたり、相談窓口を開設したりしています。
トビラシステムズ株式会社が、社会問題となっている「闇バイト」について実態調査を行い結果を公表しました。同社は、特殊詐欺・フィッシング詐欺、「グレーゾーン犯罪」などの対策サービスを提供する企業です。
警察庁|生活安全局|「闇バイト」は犯罪実行者の募集です
20代被疑者の半数以上が「SNS経由」
警察庁資料「特殊詐欺に犯行利用された番号種別件数の推移及び受け子等になった経緯について」から引用
警察庁によると、2023年に検挙された特殊詐欺犯罪において‟受け子”などの被疑者は1,079人、そのうち20~29歳が506人いたといいます。20代被疑者の場合、半数を超える271人(53.6%)が、いわゆる「闇バイト」のSNSを通じた勧誘をきっかけに特殊詐欺に関与したとみられています。
犯罪に加担していることに気がついて、やめようとしても教えてしまった個人情報などをもとに「家に行く」「家族に危害を加える」などと犯罪グループから脅され、犯罪から抜け出せない人もいるという闇バイト。
どのような‟手口”で犯罪の実行役となってしまうのでしょうか。……トビラシステムズ社の調査報告から、その実態をみていきましょう。
警察庁|報道発表資料|特殊詐欺に犯行利用された番号種別件数の推移及び受け子等になった経緯について
高額報酬に騙されない
「闇バイト」の求人は、X(旧Twitter)などのSNS上で、「高収入」「即日即金」「誰でもできる」などのキーワードを使い、簡単な仕事で高額報酬をすぐに受け取れる「アルバイト」のように行われているといいます。
求人にはさまざまな隠語が用いられているといい、特殊詐欺の被害者から現金などを受け取ったり、だまし取った現金をATMから引き出したりする「受け子」「出し子」「受け出し」「UD」、特殊詐欺の電話をかける「かけ子」などにも注意が必要です。
ダイレクトメッセージでコンタクトを取ると、Telegram、Signalなどのアプリにうつってのやりとりを求められ仕事の詳細な内容や、参加に際しての注意事項などが説明されるそうです。
また、「面接」として身分証明書の提示を求められたり、途中で逃げ出した際に当人を探すための「預かり金」を要求されたりすることがあるそうです。「今日から」「明日から」など、すぐに闇バイトへの参加を求められる事例もあったといいます。
同社は、参加だけでなく応募の段階でもさまざまなリスクがともなう闇バイトには絶対に応募しないようあらためて呼びかけています。さらに、この実態調査をめぐり、実際の犯罪行為に同社が加担していないことをあわせて公表しています。
<参照>
SNSから犯罪に巻き込まれる「闇バイト」の実態調査