ハリド・シェイク・モハメド被告とは

飛行機による攻撃を構想しテロ事件の首謀者とされる。ニューヨークタイムズによると、ハイジャック犯の訓練を含む一連の計画を1996年にウサマ・ビンラディン容疑者に提案し、監督した。2003年3月にパキスタンで拘束され、CIAのブラックサイトで183回におよぶ水責めなどの「強化尋問」を受けた。

上院の調査報告書によると、モハメド被告は最初、コードネーム「COBALT」と呼ばれるブラックサイトに収容された。CIAは尋問開始の直後から強化手法を用い、ストレスポジション、立ったままの睡眠剥奪、裸、水責め、顔面と腹部の平手打ちを行なった。さらに医療的な判断を伴わずに直腸への水分補給なども行われた。その後、コードネーム「BLUE」、「SWIGERT」「DUNBAR」など複数のブラックサイトを転々とした。これらの施設における尋問は、モハメド被告の子供を殺害するとの脅しから始められたという。CIAの医務官は後に、水責めに採用された新たな技術について「溺死寸前」を行なっていると報告していた。

2006年にグアンタナモ湾収容キャンプに移送され、2007年の法廷審問で、テロの首謀者であると自白し、「9/11作戦のすべてに責任がある」と供述した。そのほかに、2001年12月に英国人テロリストのリチャード・リードがアメリカン航空機内で靴に隠した爆弾を爆発させようとした事件、2002年のバリ島爆弾テロ事件、1993年の世界貿易センター爆破事件を含む様々な事件の首謀者であると認めた。

モハメド被告以外に起訴されているのは、1999年にハイジャック犯2人に飛行機にカッターを持ち込み戦う方法を訓練したとされるワリド・ビンアタッシュ被告、ドイツのハンブルグでハイジャック実行犯を組織し、アルカイダ指導者の言葉や送金を行なったとされるラムジ・ビン・アル・シブ被告。アラブ首長国連邦からハイジャック犯に送金していたとされるアマール・アル・バウチ被告、ハイジャック犯のための資金調達や旅行の手配を手伝ったとされるムスタファ・アル・ハウサウィ被告の4人。

司法取引で死刑回避の可能性に遺族ら反発

先月、軍事委員会の首席検察官室が遺族らに送った書簡で、弁護側と公判前合意を結ぶことを検討しており、「死刑の可能性を排除する可能性がある」と伝えたと報じられた。

これに対して遺族や議会の一部の議員は激しく反発すると、バイデン大統領は先週、弁護側が提示した交渉条件を受け入れられないとするオースティン国防長官の推薦に同意すると明らかにした。

ニューヨークタイムズによると、弁護側は交渉の土台として、独房監禁の回避やCIAの強化尋問により受けた傷害の治療を求めたという。