二階氏はそのあたりの流れも計算したと思います。そのうえで自身が議員を辞めるという表明で裏金問題の処分をかわしながらも、もうひと転がり暗躍できるわけです。
もう一点大事なのが二階氏の「自民党愛」です。氏にとって自民党は自分そのものであり、3万人も党員が減ったという事態を重く、かつ責任感を感じたのが今回の不出馬表明の背景だとみています。よって自民党再生のために総裁選に影響力を残すなら「新生自民党」を生み出すための後押しをするのではないかと思います。もう一つ、二階氏はチームワークを非常に大事にされた方です。若手議員が二階氏のところに挨拶に行けば軍資金の札束を持たせてエールを送ったという、真偽は不明ですが、そんな話も聞こえてきます。とすれば二階氏が推挙するのは自民党を一つの輪、あるいは和として結束感を強めることができる人材、これが推されるべき方ではないかと推測しています。
これでやりにくくなったのが安倍派で名前が挙がる方々です。「ドン」が不出馬という責任の取り方をいち早く表明した以上、疑惑の方々がなにもしないというわけにもいきません。一方、罰せられるのをただ待つというのも芸がありません。一部の方は離党を含めた処罰される前の自身の判断を促す格好になることもあり得ます。また80名に及ぶ疑惑の方々は次回の選挙は不利だと思います。逆に言えば岸田氏はなおさら解散総選挙の宝刀は抜けないともいえるでしょう。
自民党の冴えない話が進む中、NNNと読売新聞の調査では「支持政党なし」がついに50%を超えてしまいました。つまり国民と政治の離反関係がより進んでしまったということです。個人的には小選挙区制がもたらす議員の守備範囲の視野の狭さが気になるところであります。今回の問題をてこにして日本の政治が国民意識と比べ30年ぐらい遅れていることを認識し、大幅な刷新と若返りをはかる契機になってもらいたいものです。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年3月26日の記事より転載させていただきました。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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