利用者側、自己責任という意識が重要
サービス利用上の規約はどうなっているのか。メルカリのヘルプセンターによれば、出品者から商品が届いた段階で「商品説明に不十分な点がある」「商品の状態がわかる画像を掲載しない」「実際に発送する商品ではない画像を利用している」ことが判明した場合は、購入者は返品、すなわち取引キャンセルを行えると定められている。
では、なぜメルカリは上記のような対応をとっているのか。中堅IT企業役員はいう。
「大前提としてメルカリ運営元の対応に問題があるのは明らかであり、その前提でお話をしますと、まず、プラットフォーム運営元としては購入者から『送られてきた商品に問題があるので返品したい』という申し出を受けると、消費者保護の観点から、それを拒否しにくいという事情があります。購入者から“証拠”とされる画像などが示されれば、それが虚偽のものであるかどうかを確認する術はありません。また、フリマアプリやECサイトでこれまで問題となってきたのは、出品者側や販売者側が問題のある商品や画像・説明文とは異なる商品を送りつける、つまり購入者が被害者になるケースが多く、メルカリでもそうしたトラブルが多かったため、販売者に当たる出品者側のほうを厳しく取り締まるという方向になりがちなのは致し方ない面もあります。返品という行為を悪用して事実上の窃盗を行うというケースは、比較的新しい手法ともいえ、メルカリもあまり想定しておらず、対応マニュアルが確立されていないのではないかと推察されます。
特にメルカリの場合は利用者の数が膨大なため、サポート体制の問題から、一つひとつの個別的な事案について細やかな対応を行うことが難しくなっているでしょう。結果的に不適切なかたちでの定型的な対応が生じてしまっているのではないでしょうか。
利用者としては『運営側が厳しく取り締まるべきだ』という心境になってしまうのは理解できますが、フリマアプリのようなプラットフォームの事業者はあくまで個人間が取引を行える場所を提供しているだけにすぎず、基本的には個人間のトラブルは当人同士で解決してくださいねというスタンスであり、捜査権限があるわけでもないので、トラブルへの介入には限界があります。犯罪性のある事案については警察当局に連絡して対応を委ねるというかたちになるでしょう。なので利用者側も自己責任ということを強く意識しつつ、取引相手には詐欺をもくろむ悪意のある人が混ざっているという意識を持つべきでしょう」
(文=Business Journal編集部)
提供元・Business Journal
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