9歳の女の子が「モンスターエナジー」を飲んだところ、異常行動を起こしたとXに投稿され、大きな話題になっている。カフェインの多量摂取による影響との見方もあるが、子どもがエナジードリンクを飲むのは危険なのだろうか。専門家の見解を交えて検討する。
11月上旬、X上でこんな投稿が注目を集めた。
<5才次女の生活発表会で起きた事件。 義父母も参観に来てくれた。会場で9才長女が「友達と一緒に行動したい」と言うので許可。お昼に次女の発表が終わり長女達と合流すると…長女が何かジュースを持っている。それがなんと”モンスター”。長女に確認すると友達の父親が買って「これ、飲んでみ?」と渡してきたとの事。僕が預かると3分の1は飲んでいた。一応その父親にはお礼を言ったもののその後が大変。帰り際、長女が「友達とお昼ご飯食べる!」と泣きだした。その様子を見てニヤつく友達の父親。とりあえず長女を車に乗せるも予約した店に入っても泣き叫ぶ。明らかに異常な興奮状態だ。仕方なく僕が長女を店から連れ出して帰宅。しばらくすると落ち着いたので僕から長女に「”知らないモノ”をもらった時は決して口にしてはいけないよ」と伝えたら頷いてくれた。長女を監督しきれなかったのは僕が悪いが、他人の子供にカフェインドリンクを買い与えたあの父親が許せない。憤りが収まらなかった>
この長女の様子から、「カフェイン中毒ではないか」と指摘する声があるが、子どもがエナジードリンクを飲むことには危険が伴うのだろうか。小児科医に見解を聞いた。
子どもがエナジードリンクを飲むのは要注意
「2022年に、8歳11か月の男児がエナジードリンクを1本、一気に飲み干したところ、6時間以上にわたって吐き気が続き、救急外来を受診したとの報告がありました。カフェイン濃度などは測定していないため確定的な診断ではありませんが、カフェイン中毒だったとみられています。日本ではエナジードリンクの明確な定義はなく、『清涼飲料水』として取り扱われているので、小さな子どもでも簡単に飲める環境にあります。
しかし、子どものエナジードリンクは注意が必要です。小児では体重1kgあたり20mg程度で頻回嘔吐などの中毒症状が出現し、体重1kgあたり80~100mgになると重篤な中毒症状を示すとされているので、たとえば体重20kgであれば400mgで中毒症状が出ると考える人もいます。しかし、小児の場合は個人差が大きいため、400mgまで安全とはいえません。
カフェインの摂取量に関しては、国際機関からも注意喚起がされています。ちなみにカナダ保健省は1日あたりの摂取量について、4~6歳の場合で最大45mg、7~9歳で最大62.5mg、10~12歳で最大85mgまでにするようにと提言しています」(都内の小児科医)
モンスターエナジー(355mL)は、「この製品には1本あたり142mgのカフェインが含まれています。適量の飲用をお願いします」「お子様、妊娠中または授乳中の方、カフェインに敏感な方にはお勧めしません」といった注意書きが記載されている。
一般的に飲料100g当たりのカフェイン含有量は、コーヒー60mg、ウーロン茶20mg、玄米茶10mg、紅茶30mgとの報告がある(日本食品標準成分表2020年版)。また、全国清涼飲料連合会は、カフェインの含有量が100mLあたり21mg以上の清涼飲料水について、カフェイン量および小児や妊婦などに対して飲用を控えるように注意書きをするようにとのガイドラインを策定している。
日本で販売されているエナジードリンク中のカフェイン量は、100mLあたり10~170mgと幅が広く、一概に判断することは難しい。だが、モンスターエナジーなどは前述のカナダ保健省が提言する、子どもの1日あたりカフェイン摂取量を大幅に超えている。子どもはカフェインに対する耐性が弱く感受性も高いことから、エナジードリンクの飲用には十分な注意が必要である。
なお、Business Journal編集部はモンスターエナジーを販売するモンスタービバレッジ社に、子どもの飲用に対する見解を求めている。回答があり次第、追記する。
(文=Business Journal編集部)
提供元・Business Journal
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