北海道の玄関口、新千歳空港へ飛行機で行き、空港のなかで丸一日過ごして帰る“日帰り旅行”を楽しむ人がいるとして、一部で話題を呼んでいる。果たして新千歳空港のなかだけで一日中楽しむということは現実的なのか。専門家は「新千歳空港は“世界一、暇を潰せる空港”といっていいほど、レジャー施設としての機能が充実している」と太鼓判を押す。その魅力に迫る。
千歳市と苫小牧市にまたがるかたちで位置する新千歳空港の乗降客数は多い。1523万人という年間乗降客数(2022年)は羽田空港に次いで全国2位であり、中国・韓国をはじめとするアジア各国から観光で訪れる国際線利用者が増加し、2000年には国際線専用ターミナルを拡張。3000mの滑走路を2本備え、年間13万回の離発着が行われる。国内線の路線別旅客数としては、東京―新千歳(200万5542人:22年10月~12月)は東京―福岡(216万0766人)に次いで2番目に多い。
負の特徴としては欠航率の高さがあげられる。冬の積雪量が多く、加えて風向きが急に変わりやすい土地にあることも影響し、12月~2月の欠航率は多い月で約10%、少ない月で約2%となっている。政令指定都市で道庁所在地の札幌市の中心部まではバスで65分、電車で36分であり、アクセス面でやや難があるという声も少なくない。
<新千歳行くたびに、もっと空港で色々食べたいし遊びたいって思う>
そんな新千歳空港で「食って飲むだけの日帰りツアー」を敢行したという人のXポストが話題を呼んでいる。このXユーザはある日の午前中に空路で新千歳空港に入り、ラーメン店「えびそば一幻」で「えびみそ」とサッポロビール「サッポロ クラシック」で腹ごしらえをし、「JAびえい 美瑛選果」の「びえいのコーンぱん」、SNOWS「スノーボール 黒」、わかさいも本舗のソフトクリーム「あんぽてとソフト」を購入し、立ち食い寿司店「札幌魚河岸 五十七番寿し」で食事をして、午後に空路で帰路に就いたという。このポストを受け、以下のような反応が多数寄せられている。
<私もこれやってみたいんだよな>
<新千歳行くたびに、もっと空港で色々食べたいし遊びたいって思う>
<新千歳空港半日居れば、北海道のグルメは満足出来るよ>
<なんなら温泉も入れます>
<なんという贅沢>
新千歳空港の中だけで丸一日過ごして楽しむということは、現実的に可能なものなのか。航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏はいう。
「結論からいうと、難なく丸一日満喫することができます。まず飲食店をみてみると、ラーメン店は道内の有名店が揃っており、寿司店も何軒もあり、ショッピング施設は北海道各地の名産品が一通り揃っているので、帰る際にまとめてお土産を買うことができます。加えて、温浴施設の『新千歳空港温泉』、映画館、展望デッキ、『ドラえもんわくわくスカイパーク』、チョコレート工場をガラス越しに見学できる『ロイズ チョコレートワールド』など、豊富なレジャー施設があるため、子ども連れでも一日過ごすことができます。
“暇を潰せる空港”という視点では、国内の空港では敵なし、世界的にも1位レベルといってよいと思います。空港側がここ20~30年ほど、より多くの旅行客を獲得することを意識して、“北海道旅行の最後に新千歳空港に行けば、買いたいお土産がすべてそろう”と思ってもらえるような場所づくりに取り組んできた結果ではないでしょうか」