ほかの建築物でも早期改修が必要になる可能性

 ネット上では、富岡市役所は空調効率も悪いとの指摘があるが、設計する際に空調は考慮しないのだろうか。

「吹き抜けにしたり、ガラス張りにすれば空調が悪くなるのは当然です。そのような風の流れなども計算する建築士もいますが、空調効率は二の次としている方もいます。とはいえ、最近はエコやSDGsを重視する風潮があるので、空調効率を計算して設計する建築士のほうが多いと思います」

 隈氏が手掛けた建築物は、外装で木材を多量に使用していることが特徴だが、ほかにも早期の改修が必要となりそうな建物はあるのだろうか。

「東京大学のダイワユビキタス学術研究館や兵庫県伊丹市役所なども、建物の表面に多くの木材を貼り付けていて、比較的早く改修が必要になるだろうと見ています。劣化しない材料を使わず、劣化することがわかっている木材を貼り付け、しかも処理が雑である点について、疑問視している人は建築業界で非常に多いですね」

 昨年11月、創建1200年以上の歴史を持つ熊本県人吉市の青井阿蘇神社に、隈氏がデザインした「青井の杜国宝記念館」が開館したが、屋根に木材を大量に貼り付けるデザインが賛否を読んでいる。隈氏らしいデザインともいえるが、防腐処理をしているように見えないことから、すぐに改修工事が必要になりそうだと懸念する声が少なくない。

 Business Journal編集部は隈研吾建築都市設計事務所に、「設計当初から短いスパンでの改修工事の必要性なども市役所の担当者が把握しているのか」「富岡市役所以外にも、伊丹市役所や兵庫県庁などの公共庁舎の木材について、防腐処理などはされているか」と問い合わせている。回答があり次第、追ってお知らせする。

(文=Business Journal編集部、協力=森山高至/建築エコノミスト)

提供元・Business Journal

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