著しい人口増加と経済成長で、世界から注目を浴びるインド。インドに住んでいると、実際に経済成長しているな...という瞬間が訪れます。住んでいる自分たちとしてはそのせいで大変なことも多々あります。
今回は、インドの好景気を感じる瞬間をまとめてみます。インドは物価が上がる一方なので、今この瞬間が一番安いと言えます。インド旅行はお早めに!
目次
1. 家賃が毎年5〜10%のペースで上がっていく
<引用:Unsplash/筆者が実際に住んでいる街>
インド暮らし最大の苦労とも言えるのが家探し。小さめのアパートのワンルームからコンドミニアムのような大型マンションまで色々とあります。
日本人の駐在員が住んでいるのは「ソサエティ」と呼ばれるGated commmunityで、20階建て以上、ジム・プール付きという豪華なところが大半です。部屋数はもちろん、トイレやシャワーまで2つ以上あるのが一般的です。そんな素敵なマンションでも、近所に住んでいるのはインド人。文化や認識が違うため、ゴミを共有廊下に散らかしたり、夜遅くまで爆音でボリウッド音楽をかけたり、さらには水漏れや急な断水に停電など、苦労は耐えません。
その中でも、一番辛いのが家賃です。せっかく安く借りることができたとしても、契約書には「毎年5%の家賃の増加」が必ずと言っていいほど記載されています。5%ではまだ良心的で、8%や10%、ひどい時には15%の増加が求められることもあり、この上昇率をいかに抑えるかが家主との交渉の腕の見せどころです。
「物価が上がっているから家賃も上がって当然」という理屈とのことなのですが、物価以上に家賃が上昇している気がします。家賃が払えなくなるまで上がったら、引っ越しするしかありません。
6年のインド滞在のうちムンバイに5年住んでいますが、すでにムンバイだけで3回引っ越しています。
2. 銀行の利子がすごい!
インドに住んでいてありがたいのが、銀行の利子です。銀行や預ける金額によって異なりますが、私の家族が使っている銀行では普通預金で4〜5%、定期預金で6%近く利子が付きます。
身に覚えのない少額の入金があり、確認したところ利子だった、ということがよくあります。日本だとそこまで利子の恩恵を受ける実感がないので、とても新鮮に感じました。
預けているだけでお金が増えるなんてありがたい!と思う一方で、銀行の倒産が日本と比べものにならないほど多く、安心はできません。そして経営が安定した銀行ほど利子も低めです。さらに、利子がついても後でまとめてがっつり税金で引かれるので、結局いくらプラスになるのかは謎のままです...。
インドでは、家を借りる時に数十万円レベルのデポジットの支払いを求められます。「入居者が家を借りている間、デポジットを銀行に預けて利子で儲け、入居者が退去する頃に返すのが目的だ」と聞いたことがあります。
3. インド人の初任給も上がる一方
初任給は地域や職業で大きく異なるのはインドも同じです。ですが、数年前までムンバイのホワイトカラーの初任給は20,000ルピー(約35,000円)程度が一般的だったように思えます。
しかし、今では30,000ルピーや40,000ルピーはもちろん、企業の採用担当者の話では50,000ルピー払ってもよい新卒が取れないとのことでした。
最大で50%も初任給が上がっている印象を受けます。あくまで私が周辺の人物から聞き取った少ないサンプル数に基づく実感であることをご留意ください!
一方で就職の競争率も上がっているためか、大学を卒業してもすぐに就職しない人たちも周囲にちらほら見られます。大学卒業後、1〜2年かけて面接を受け続けたり、インターンでつないだり、ゆっくりしているなぁと感じます。
特にバンガロールに集中しているIT産業は競争が非常に苛烈で、新卒での就職は至難の業とのことです。
4. オートリキシャーの初乗り&チャイまで値上げ
生活の中で物価上昇を感じるのが、オートリキシャーの初乗り料金です。私がインドに来た2018年は初乗り15ルピー(26円)程度でしたが、18ルピー、21ルピー、と突然の値上げが続き、2024年10月現在では初乗り23ルピーとのことです。
価格自体はそこまで変化はありませんが、6年で50%以上も値上げしていると思うと、なかなかの成長度合いですよね。また、インド人の休憩には欠かせないチャイもどんどん値上げされています。
5ルピーで飲めていたチャイが8ルピー、10ルピー、さらには15ルピーに...。こちらも、オートリキシャーの値上げと似たようなタイミングで上がっていきます。10ルピーのチャイならめちゃくちゃ安い、今では20ルピーくらいが普通という感覚で、5ルピーのチャイはほとんど見かけなくなりました。
5. 不動産の開発スピードがすごい
すごいなぁと思うのが不動産の開発スピードです。20階建てのビルが、数ヶ月で建ってしまいます。BrigadeやPrestige、SOBHAなど不動産ディベロッパーの看板を街中で見かけ、周囲は工事中のところだらけです。
半年ぶりに訪れると、同じ場所だとは思えないことが多々あります。人口が増加し、特に新興の準富裕層に対応するように、マンションが立ち並び、都市部の人口密度はさらに増えています。マンションが建つのは良いことですが、それに伴う交通渋滞や水不足などは一向に解決される様子がありません...。
また、人々が集まって住んでいる「コロニー」と呼ばれる箇所が多数あります。貧しい方たちが集まっており、正式に許可なく居住していることもあります。長年そこに居住していた人たちが、不動産の開発にともなってコロニーが取り壊され、強制的に立ち退きすることになる姿も何度も見ました。
ある日突然、たくさんの人と住居がなくなって瓦礫だけが残っているのを見るのは、ショックでした...。経済成長の光と影を同時に目にするのが、インドという国ですね。
まとめ:経済成長を肌で感じられる国、インド
「かつて中国が体験した経済成長が、今インドで起こっている」と中国とインド両方の駐在を経験した方が言っていました。経済成長を背景にした人々の湧き出るようなエネルギーはとても興味深いです。
ぜひ、長めの旅行でインドの経済成長に触れてみてはいかがでしょうか?
文・写真・やまもと/提供元・たびこふれ
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