韓国統一研究院(KINU)のオ・ギョンソプ氏(Oh Gyeong-seob)はロシアで働く北朝鮮労働者の実態を報告している。それを読むと、北朝鮮の労働者は奴隷のように酷使される一方、北労働者から入る外貨で金正恩総書記は核・ミサイル開発を進めているという。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は27日付電子版で、「私たちが別のところに気を取られている間、北は世界の大きな脅威となってきた」と警告を発する記事を掲載している。

ロシアのプーチン大統領と金正恩総書記の会見(2023年9月13日、クレムリン公式サイドから)

当方は10年前、このコラム欄で「金正恩氏は“現代の奴隷市場”支配人」(2014年12月9日参考)を書いた。そこで「海外で働く北労働者総数は約6万人から6万5000人、約40カ国に派遣されている。労働者海外派遣ビジネスからの総収入は年間1億5000千万ドルから2億3000万ドルと見られている。労働職種は建設業、レストラン、鉱山、森林業、道路建設などが主だ」とその実情を紹介した。オ・ギョンソプ氏の報告はその10年後のロシアでの北労働者の実情だ。

以下、オ・ギョンソプ氏の報告の概要を紹介する。

ロシアに派遣された北朝鮮労働者の数を正確に掌握することは難しい。2019年の国連安全保障理事会決議(UNSCR)2397の採択後、ロシアは2019年末までに、ほとんどの北朝鮮労働者を帰国させたと安保理に報告し、約1000人しか残っていないと報告した。しかし、米国国務省の年次「2023TraffickinginPersonsReport」によると、2022年にロシア政府が北朝鮮の海外労働を禁止する安保理決議を回避するために4723のビザを発行または再発行したことが明らかになった。これらの労働者の大多数は極東地域の建設および伐採産業に従事しており、モスクワとサンクトペテルブルクで建設に従事している数千人がいる。北朝鮮とロシアの間の関係が強化される中で、ロシアに残る北朝鮮労働者の数が約3万人から5万人に急増すると予想されている。

KINUによってインタビューされた北朝鮮の亡命者によると、ロシアに派遣された北朝鮮人労働者は3万人以上いると証言している。ロシアが北朝鮮労働者を雇用することは、安保理が課した制裁に違反している。決議2397では、加盟国に対して、24カ月以内に収入を持つすべての北朝鮮労働者を帰国させ、27カ月以内に制裁委員会に報告することが義務付けられている。これらの規制にもかかわらず、ロシアと北朝鮮は制裁を回避または回避する方法を見つけており、北朝鮮労働者を帰国させる義務を避け、新たな雇用を継続している。その理由としては、深刻な労働力不足であり、ウクライナの戦争にも従事していることが挙げられるという。