DX化のみならず、部品調達の面でも課題
そのほかの自動車メーカーのDX化、セキュリティ対策はどうなっているのか。
「日産自動車、三菱自動車の2社は、フランスの自動車メーカー・ルノーとアライアンスを結び、欧州企業と取引を行っていることから、高い精度でデータベースの構築を続けているかと思います。スズキもインドに多くの子会社を設立しており、海外との連携を兼ねて情報管理には細心の注意を払っている印象です。ただ、三菱自動車は2000年、2004年のリコール隠しや2016年の燃費データ不正問題などの不祥事が大きな問題になっていましたから、現在は日産の力を借りつつ、情報の透明化のために邁進するフェーズへと移行しているでしょう。心配なのは、トヨタの子会社であるダイハツでしょうか。ダイハツはトヨタのOEM車(他社製造の自社ブランドの車)を製造している企業でもあり、データベースやシステムなどトヨタと連携している部分もあるはずなので少々不安を感じます」(同)
やはり、トヨタ系列の企業には不安が残る。今後の課題が山積みだろう。
「ほかにもトヨタは、現在では回復傾向にあるものの、コロナ禍で半導体不足が目立ちました。海外メーカーとのセッションが円滑に進まず、購買でかなり苦戦していたようで部品調達の面で課題が残っています。
部品調達が遅れると、それだけ納車日も遅れてしまいます。加えて、今回のディスク容量不足での工場停止、さらに中央発条の爆発事故ですから、納期への影響は大きいでしょう。トヨタは、かんばん方式など新しい車の生産方式を世に広めた先駆的なメーカーですが、生産の土台となるデータや部品供給面の改善が先送りになっている印象があります。9月よりソフトウェア開発を推進する組織『デジタルソフト開発センター』を新設しましたが、今さら感を感じます。
トヨタは古ながらのメーカー気質な社風を重視するが故に、それがDX化の弊害になっているのかもしれません。“よいクルマをつくる”といった気概は素晴らしいことですが、クルマを購入するユーザーに不安を与えないような経営体制や、DX化を推し進めることで国内最大のメーカーとして示してもらいたいです」
日本のモノづくりのトップをひた走ってきたトヨタ。DX化が課題となっている今が正念場なのかもしれない。
(取材・文=A4studio/協力=萩原文博/モータージャーナリスト)
提供元・Business Journal
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