イタリア南部の山村で発生した連続タイヤ破壊事件は、 数ヶ月に渡り住民たちを苦しめてきた。 この奇妙な事件は、7月に モリーゼ地方のバストギラルディ村において、数台の車のタイヤが何者かによって破壊されたことから始まった。

 村人たちは、この謎の犯人「タイヤスラッシャー」 について隣人同士の復讐か、あるいはマフィアの脅迫めいたものではないかと考え恐れるようになった。副市長のレモ・スコチェラは当初、「非常に不可解です」「誰がタイヤをメチャクチャにしているのか、動機は何なのかを突き止めることができません」「 ここは平和な村です。不審な動きがあればいつでも察知できるので、外部の人間ではないことはわかっています」と説明した。

 約600人の住民が住むこのバストギラルディの要塞化された歴史 的中心部、タイヤスラッシャーはそこに駐車していた車を何度も標的にした。

 10月下旬には、さらに4件のタイヤのパンク・破壊が報告されたが、いずれの車も同じ場所に駐車されていたため、警察は民間人の格好に扮してパトロールを行い、犯人を探した。  犯人は幾度も潜入捜査官をかわしたため、当局はその場所を見渡せる監視カメラを設置し、そしてとうとう事件は解決することとなった。タイヤスラッシャーの名はビリー、なんと駐車場近くに住んでいた犬であったのだ。設置された監視カメラには、 数台の車のタイヤに噛み付くビリーの様子がありありと映し出されていた。

 なぜビリーはタイヤに噛みつくようになったのだろうか。診察した獣医によると、彼は歯肉炎を患っており、痛みを和らげるためにこのような悪しき行動を起こした可能性が高いという。

 飼い主は、このようなビリーの不快感に気づかなかったのだろうか。それについては、結局のところ不明であるが、いずれにせよ問題となるのは、被害者である車の所有者側だ。特に2回以上攻撃された人にとっては、大変苛立たしいことであるし費用もかかってしまう。

 スコチェラは、「人々がタイヤをパンクされたために車で通勤することができず、また多額の費用がかかることは間違いありません」と言いつつ「 幸い今は解決していますが、 犯人が村の人ではなかったことは良いことです」と語る。

 当局は、過去数ヶ月間にこの犬の犠牲になった多くのタイヤの費用を負担す る責任があると述べている。その一方で、タイヤスラッシャーの正体が、疑いや陰謀で囁かれていたよりもはるかに脅威でないことが判明したのも事実であり、バストギラルディの住民は安堵のため息をついている。

【文 にぅま】

文=にぅま(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

提供元・TOCANA

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