千歳楼(ちとせろう)は、愛知県春日井市玉野町に存在する旅館の廃墟である。社長であった櫻井喜美夫の祖父が創業した料理店を当地に移転した1954年から旅館業として開業され、春には桜、秋には紅葉が楽しめる渓谷の風景を売りとした観光資源となり、一時は「名古屋の奥座敷」とまで呼ばれるほど集客に貢献していた。しかし、自家用車の普及に伴い他の地域に客を奪われるようになり経営が悪化、2003年には廃業となり以後解体されずに現在もそのまま残されたままとなった。
かつては年商10憶を記録するほどの高級旅館として知られていたこの千歳楼は、廃墟となってから債務者が窓ガラスを割って侵入し、金庫や食器その他金目のものを持ち出していくといったことが相次いだという。それと同時に、廃墟探索で訪れた若者たちの不法侵入も増えていき、今では愛知県最恐と謳われる心霊スポットとして、主にインターネットでの発信が元で認知されるようになっていった。
侵入者が後を絶たないせいか不審火も何度か発生しており、2008年には屋上の枯れ草が燃えてエレベーターを通じ大広間まで火災が拡大、同年には再度200平米に及ぶ大火事も発生するなど、これまでおよそ8度もの不審火が報告されているという。このため、消防本部が対策としてフェンスや監視カメラの設置やパトロールを強化するようになったようだが、今もなお不法侵入がやむことはなく、2017年には肝試しで侵入した高校生9人が書類送検されたという。
心霊スポットとして認知されている千歳楼では、夜中に突然黒電話が鳴る、出ないでいると「なんで出ないの?」と耳元でささやかれる、和服の男が彷徨っている、メールのテキストが文字化けしてしまうといった心霊現象報告がなされている。
だが、曰く付きのスポットとして最も拍車をかけたのは、2012年8月に肝試しで侵入した少年たちが発見し通報したという「白骨死体」の存在だろう。千歳楼の1階にあったその白骨死体は、目立った外傷は確認されなかったものの性別がわからないほどに腐敗しており、座ったままの姿勢で半そでシャツにジーパン姿といった情報も報道された。
死体の正体が誰であるかはその後報道がなされていないため分っていないが、廃墟に住みついた浮浪者、または現在も行方知れずである経営者ではないかといった噂が囁かれている。また、この事件の報道時にはネット掲示板にて「通報しちゃったのかよ!」という書き込みがみられ、それ以前に遺体を発見した侵入者が通報していなかったのではないかという疑いも示唆された。
さらに、千歳楼付近ではこの他にも事故等が目立っており、近くに架かっている橋からトラックが落下して運転手が死亡したという事故、廃墟近辺に放置された自動車の中から遺体発見、付近の河原で一部白骨化した遺体が発見といった、死体発見のケースがかなり目立っている。
因みに、千歳楼と川をまたいで向かいには、「猫屋敷」と呼ばれる小さな廃屋があり、こちらも心霊スポットの一つとして紹介されることがある。昭和40~50年代に老人と1匹の猫が暮らしていたが、老人が入院をして猫が残されてしまった。老人は病院でそのまま息を引き取り、帰りを待っていた猫もやがて死亡し、以来廃屋の前を通り過ぎると猫の泣き声がどことなく聞こえてくるという。廃屋の中には、猫の白骨死体が今も残されているとの噂もある。
千歳楼は、火災や遺体発見など現実の数多くの事件や事故の報告によって、最恐と呼ばれる心霊スポットとして強く認知されていったことは間違いないだろう。ただ、近場への探訪はまだしも、侵入行為については明確に地元住民からの苦情もなされていることを忘れてはならない。
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【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】
文=ナオキ・コムロ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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提供元・TOCANA
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