もう一つのポイントである政治資金規正法の改正については、小林氏が、「改正政治資金規正法を厳格に守っていく」などと述べているが、少なくとも、裏金問題の背景となった「政治資金の不透明性」の解消に向けてさらなる法改正をする気は全くないようだ。「政治とカネ」問題での自民党への国民の不信に対する認識が甘いと言わざるを得ない。

国民が求めているのは、裏金問題の背景となった政治資金の不透明性を解消するための思い切った対策だ。岸田内閣で行った「その場しのぎ的」な法改正以上の抜本改革に後ろ向きのままでは、総裁選後の総選挙で国民に支持されるとは思えない。

この問題については、前の通常国会で政治資金規正法改正の議論が始まる前の5月8日に出した【後半国会の焦点・政治資金規正法改正、“裏金根絶”のための決定打は?】で、「政治資金規正法の『大穴』」を塞ぎ、政策活動費、旧文書交通費等も含め、政治資金の不透明性を解消する「抜本改革」について提案している。

この時は、自民党案への対案としての立憲民主党の政治資金規正法改正案が多くの問題を抱えたものであったことから、野党の代案を提案したものであった。今、まさに政治資金制度改正の議論をすべき場は自民党総裁選であろう。そこで求められているのは、これまでの政治資金の不透明さを解消し、国民の信頼が回復できるような政治資金規正法の抜本改革の具体案を競うこと、それについて党内のコンセンサスを作っていくことではなかろうか。

今週末から来週にかけて、有力候補とされている小泉進次郎氏を始め、総裁選候補者が次々と出馬会見をすることになるだろう。裏金問題、「政治とカネ」問題全般について、どのような具体的な対応方針を示すのかが注目される。

小林鷹之氏HPより