トランプ発言を伝えた人々の多数が、「トランプ氏が自分が当選したら対ロシア制裁を解除」と伝えた。厳密には、トランプ氏は、そのようには宣言していない。
トランプ氏は、明白に、バイデン政権の過度の制裁プログラムに批判的である。自分が大統領になったら、制裁は最小限にしか導入しない、と述べている。関税政策と組み合わせる、とも述べている。自分が大統領だったら戦争は起こらなかった、だから対ロシア制裁も必要なかった、と述べている。したがって、自分が再選したら、その状態に引き戻したい、という含意を表明している。
ただ、実際には、凄惨な戦争は起こってしまっている。制裁も導入されてしまっている。どうやったら、そこから自分が期待する状態にまで持っていけるのか。トランプ氏も、そこははっきりとは述べていない。簡単には言えないからだろう。
恐らくは、戦争の早期終結と組み合わせて、対ロシア制裁プログラムを、なるべく早く終了させたい、それによってドル防衛につなげたい、ということだろう。
トランプ氏の発言には、ドルを見限ったロシアは、もう戻っては来ないだろう、というニュアンスもある。失ってしまったものは、簡単には取り戻せない。
ドルの地位は永遠不変ではないのではないか、と言うと、批判され、失笑されることもある。 だが米国/G7の世界経済におけるGDPシェアが縮小し続けているのに、なぜドルの地位だけは永遠で、アメリカは金融制裁を乱発し続けることができるのか。素人の疑問は消えることはない。 LNkN2ra5
— 篠田英朗 Hideaki SHINODA (@ShinodaHideaki) April 16, 2024
私自身は、色々なところで触れ続けているが、38もの金融制裁を、ある一カ国が単独で導入する、というのは、すごいことである。
Sanctions Programs and Country Information