今から約40年前、マクドナルドで起こった最悪の銃撃事件「サン・イシドロ・マクドナルド銃乱射事件」が発生した。
1984年7月18日午後3時56分、メキシコとの国境に近いカリフォルニア州サンディエゴのサン・イシドロという小さな地域に建つマクドナルドに一人の男が乱入、手にした銃を乱射した。男は、命乞いをする家族、隠れていた従業員、そして赤ん坊までも銃殺し、最終的に21人が死亡した。
犯人はジェームス・ヒューバティ(41)、オハイオ州出身の溶接工で、幼少時にポリオに罹患したため永続的な歩行障害を患っていたという。更にバイク事故で腕の痙攣を患ったため溶接の仕事を辞めざるを得なくなり、妻のエトナと2人の娘とともにメキシコのティファナに移り住み、その後サン・イシドロに落ち着いた。彼は警備員の仕事を見つけたが解雇。その数週間後に今回の凶行に至ったのだ。大量殺人の日、ヒューバティは妻と娘たちをサンディエゴ動物園に連れて行き、皮肉にも別のマクドナルドで昼食をとった。しかし、アパートに帰るとヒューバティは妻に「人間狩りに行く」と、娘たちにはもう戻ってこないと告げて家を後にした。そして、問題のマクドナルド店舗で銃乱射事件を起こしたのである。
警察署長のビル・コレンダーが当時語ったところによると、彼は到着すると「目に入るものすべてを撃ち始めた」という。救急隊が現場に到着してもヒューバティは撃ち続け、警察官や消防士は彼の銃弾をかわすのに必死だった。SWATのスナイパーがヒューバティを射殺し、凄惨な流血に終止符を打つまで77分。その間に彼はわずか4カ月の赤ちゃんから74歳のお年寄りまでの数十人の犠牲者を襲撃しつづけたのである。ちなみにヒューバティには家庭内暴力の過去があり、銃に熱中していたというヒューバティの元同僚ケネス・シュラーは、事件後ニューヨーク・タイムズ紙に「彼は家にたくさんの銃を持っていて、いつもたくさんの人を殺したいと言っていました。私たちは彼を信じていました。ただ、いつやるかが問題だったのです」と語っていた。また、隣人によれば「子供が嫌い」だったそうで、彼が殺した21人の中には、11歳の子供が3人、9歳の子供が1人、そして最年少で生後8カ月の赤ん坊が含まれていた。
犠牲者のほとんどはメキシコ人かメキシコ系アメリカ人であり、人種差別的な動機もあったのではないかと疑われていたが、コレンダー警察署長は当日来店していた人の人種から差別的な様子は伺えないと語っている。
フーバティの長女ゼリアはこの銃撃事件当時まだ12歳だった。2015年、彼女は事件について初めて口を開き、一部始終を目撃していたことを明かしている。
「そこに車があった。すべてを見たわ。同じ学校に通っていた知り合いも見た。あの時は、”私より彼らの方がマシ “ということ以外、何も考えていなかった。ひどいことを言うのはわかってるけど、12歳だとそういうことを考えるものなの。でも、もし過去に戻れるなら、こんなことになる前に父を殺していたかもしれない」と、彼女は『Vocativ』のインタビューで語っている。
事件の数カ月後、このマクドナルドは取り壊され、通りの先に新たな店舗が再建された。事件から6年後に慰霊碑が建てられ、高さの異なる21本の柱と犠牲者の名前が書かれたプレートが設置されたものの、38年経った現在ではこの事件はほとんど忘れ去られ、全米で頻発する銃乱射事件の影に隠れている。しかし、この記念碑を管理しているサウスウェスタン・コミュニティ・カレッジは、毎年銃乱射事件の記念日に異なる色合いの花で記念碑を覆い、犠牲者の記憶を生かそうとしている。
参考:「Daily Star」ほか
文=勝木孝幸(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
提供元・TOCANA
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