石破茂首相は10月1日の夜、首相官邸で就任後初の記者会見に臨んだ。そして、自身の内閣について「納得と共感内閣」と銘打ったという。同時に石破首相は「謙虚で誠実で温かい政治を行っていく」と語った。

石破茂インスタグラムより

しかし、筆者は思う。国民の「納得と共感」を得たいならば、そして「謙虚で誠実で温かい政治を行っていく」と言うのならば、総裁選中の発言をすぐに翻すような事はしない方が良いと。石破氏は「野党と論戦を交わした上で(解散について)適切な時期を判断する」という内容の事を総裁選中は語っていたはずだ。

ところが、総裁選に勝利し、首相になるやいなや、10月27日投開票の日程で総選挙を行う意向を示した。野党との論戦をしっかりせぬまま、選挙に突入する事になる。これは「嘘つき」と言われても仕方なかろう。筆者は政治家が嘘をつく事を一概に否定はしないし、時には必要な事もあるとさえ思っている。また、機先を制する事や策を弄する事も重要だと感じている。

だが、石破氏はかねてより「国民の納得と共感を得るべく、常に国民と正面から向き合うように行動する」(石破茂ブログ、2015年10月2日)ことを掲げ、行動してきたのではなかったか。

総裁選中の「野党と論戦を交わした上で(解散について)適切な時期を判断する」との内容の発言は、筆者は国民との約束に等しいものだと感じている。この発言に期待した人も多かったのではないか。ところが、蓋を開けてみれば、野党と論戦を激しく戦わす事なく、選挙に邁進の意向。これでは、選挙において、石破内閣を評価しようもない。石破氏の今回の早期選挙の発言に「納得と共感」する国民はどれほどいるだろうか。

早期選挙の意向を表明したのは、国会論戦でボロが出たり、失言が出たり、スキャンダルが出てきて、国民の評価が下がるのを恐れたからであろうか。石破氏が「納得と共感」内閣を標榜したいならば、また前言撤回して、キチンと国会論戦をしてから総選挙を行って欲しい。